実ビジネスに関わる機会を提供し、神戸で活躍する人材を育成する
後半はエンジニアやAI開発の視点からAIの活用や人材育成について議論が行われた。AIやメタバースの開発を手がけるmonoAI technologyの社長室新規事業開発担当ディレクターである對馬 勝氏は「AIは技術がわかっているだけでは思うような結果が得られない。進化が早すぎるのもあり、トライ&エラーを楽しめる人材が重要である」と話す。
對馬 勝氏が社長室新規事業開発担当ディレクターを務めるmonoAI technologyではメタバースプラットフォーム「XR CLOUD」などを開発している。
元Googleで現在はシスメックスでエグゼクティブエンジニアを務める石原直樹氏は「日本のエンジニアはコーディングがスキルと思われ、開発の全行程を見渡せる人材が育っていない。今後はAIパワーを使ってソフトウェアエンジニアをより良くしたい」と語る。自身ではシリコンバレー流のソフトウェア開発技法を学ぶ Alpha+ Project(アルファプロジェクト)を開催しており、AIラボとも協力してイベントを行うことも考えているようだ。
シスメックス エグゼクティブエンジニアの石原直樹氏は「AIで日本のソフトウェアエンジニアをより良くしたい」と語る。
川崎重工業の執行役員で前述した協議会の運営にも関わる加賀谷博昭氏は、「神戸は大学が多いが高度なデジタル人材は東京に流出する傾向にある。その流れを変えるためにも学生の頃からAIラボで課題解決に取り組む場を提供するなど、いろいろ活動を行いたい」と語る。
川崎重工業執行役員の加賀谷博昭氏はAIラボや協議会を通じた人材育成に取り組もうとしている。
地元の神戸大学ではAIなどの最先端技術や知識を学び、社会課題解決につなげる新たな学部として、工学部情報知能工学科を2025年度に開設することが決まっている。AIの普及によって日本のデジタル人材不足の深刻さが浮き彫りになる中で、AIラボや協議会の神戸の動きが日本全体を変える影響を与えることができるのか、今後も注目していきたい。
Microsoft AI Co-Innovation Lab
取材・文/野々下裕子