AIという単語を目にしない日はないほど、私たちの生活中にAIが入り込んでいる。その影響はビジネスへも広がり、ITのみならず幅広い業界でAIを活用する動きが加速している。そうした中でMicrosoftは、ChatGPTを開発するOpen AIに早くから投資するなど、CEOのサティア・ナデラ氏が先導してAIに力を入れてきた。
2017年には本社がある米シアトル州のレドモンドに、ユーザーと自社の専任エキスパートが共創してAIやIoTを中心とした先端技術をビジネス化する「Microsoft AI Co-Innovation Lab」(以下、AIラボ)を開設し、ミュンヘン、上海など世界各地に展開している。そしてこの10月11日に6番目となるAIラボが、兵庫県神戸市にある神戸商工貿易センタービルにオープンした。
1週間の集中開発を含む約1カ月のプログラムでアイデアを実装
AIラボで行われるプログラムは基本的に世界共通で、ユーザーが実現したいアイデアに対して20を超える専任のラボエキスパートが個別にアドバイスを行い、約1カ月の短期間で構築、開発、プロトタイプ作成、テストまでを行う。幅広い分野からユーザーが参加しており、これまでに世界で800を超える実績がある。申し込みはラボのサイトから無料で申し込みができ、審査を通過したらNDAに署名し、事前ディスカッションをリモートで3〜4週間かけて行う。その内容を基にSprintと呼ばれる実作業を1週間集中してラボで行うのが本プログラムの大きな特長で、Microsoftの専任エキスパートから直接サポートを受けられる。
今回のAIラボの設置には、神戸市と地元企業の川崎重工、神戸商工貿易センターの3者が誘致に関わっている。地域のDXやAI活用を促進し、神戸の産業振興につなげる拠点として設立を熱望し、姉妹都市のシアトルとシリコンバレーにあるビジネスオフィスを通じてMicrosoftとの関係を築きあげることで実現した。
プログラムは世界にあるどのAIラボでも申し込むことができ、日本企業が利用するケースもあるが、やはり海外のプログラムに参加するのは地理的にも言語面でもハードルが高く、神戸での開所は運営する日本マイクロソフトにとってもメリットがあった。また、上海に行くのは難しいというアジアのユーザーに対しても参加のチャンスが広がり、神戸側はグローバルな関係づくりになることにも期待を寄せている。