社内のアップサイクル率をさらに上げていきたい
今後の展望について、栗栖さんは次のように語った。
「今後も、季節の食材を使うなど、新しいビールを作れたらと考えています。また、醸造していただいている伊勢角屋さんが得意としている領域のビール商品も、いつか作りたいですね。いずれにしても『乾杯の一杯』という部分はコンセプトとして共通していく部分かもしれません」(栗栖さん)。
最後に、アップサイクルへの取り組みへの意気込みについて次のように話してくれた。
「未利用資源活用の取り組みは、『続けること』に意義があると思っています。取り組みをしているとはいえ、アップサイクル率が現状ではまだ数%の状態ですので、もっと増やしていきたいです。今協業させていただいている企業様以外も、今後模索していきます。今回の記事を読んでいただいたりした方で、『我こそは』という方がいらっしゃいましたら、是非お声がけいただけると嬉しいです」(栗栖さん)。
持続可能な社会に向けたサーキュラエコノミー(循環型経済)の実現には象印マホービンのような企業の努力が欠かせない。今回の試験米のアップサイクルのような「モノを消費しないモノ作り」は今後、企業が商品開発をするうえで大きなテーマとなっていくのではないだろうか。また、そういったストーリーに共感する意識の高い消費者は確実に増えている。企業のイメージアップやファンを獲得、さらに優秀な人材を獲得していくうえでも環境に配慮した共感を生む商品の開発は注力していく価値のある取り組みだと感じた。
取材・文/久我裕紀