■連載/石野純也のガチレビュー
2023年9月22日に発売されたiPhone 15シリーズ。例年通り、iPhone 15シリーズも全4機種構成。スタンダードモデルが2機種、プロモデルが2機種で、それぞれに大小を用意した格好だ。特に「iPhone 15 Pro」や「iPhone 15 Pro Max」といったプロモモデルは、フレーム部分にチタンを採用するなど、そのデザインを一新させた。チップセットも、性能をさらに上げた「A17 Pro」が採用された。
また、iPhone 15 Pro Maxは望遠カメラを刷新。これまでの3倍望遠カメラに代わって、光を4回屈折させるテトラプリズム方式の5倍望遠カメラを搭載している。デジタルズームとの組み合わせによる25倍ズームは、歴代iPhoneで最大の倍率。A17 Proとフォトニックエンジンの組み合わせによって、ポートレートモードも進化している。
フルモデルチェンジを果たしたiPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxだが、円安の影響もあり、価格は昨年登場したiPhone 14シリーズから上がってしまった。iPhone 15 Pro Maxには128GB版がないことも、高価格化の要因の1つ。最上位モデルの1TB版に至っては、約25万円になる。では、プロモデルはその価格に見合った端末なのか。2機種を実際に使い、その実力をチェックした。
iPhone 15 Pro/15 Pro Maxのプロモデル2機種をチェックした
チタンフレーム採用で軽さが際立つ、ディテール変更で手になじむデザインに
これまでのプロモデルは、フレームの素材にステンレススチールを採用していた。光沢感が非常に強く、ラグジュアリーな印象を強く打ち出せていた一方で、重さが増してしまうのは毎日何度も手に取るスマホとしての弱点だった。カメラなど、ほかのデバイスの大型化も進み、「iPhone 14 Pro」は206g、「iPhone 14 Pro Max」に至っては240gにもなっていた。フォルダブルスマホの「Galaxy Z Fold5」が253gであることを踏まえると、特にiPhone 14 Pro Maxの重さは際立っていたと言えるだろう。
これに対し、iPhone 15シリーズはプロモデルの2機種とも、19gの軽量化を果たしている。これは、フレームにチタンを採用したためだ。チタンと言っても、その内部にはアルミを使用している。アルミの周囲に巻き付けるような形でチタンを接合。ユーザーの目に見えない部分は、アルミで軽量化されている。19gも軽量化できたのは、このような工夫のお陰だ。
割合で言うと、軽量化の度合いが大きいのはiPhone 15 Proの方。前モデルから約1割ほど重量を削減できているため、手に取った時、その違いははっきりとわかる。プロモデルではあるものの、重量的にはスタンダードモデルに近く、扱いやすい。ステンレススチールのように一見しただけでわかる豪華さはないものの、日々使う道具として、より磨きがかかったような印象だ。
iPhone 15 Proは、前モデルから19g減の187gになった。持った時の印象は、スタンダードモデルのiPhoneに近づいている
一方のiPhone 15 Pro Maxは、軽量化したと言ってもまだ200gを大きく上回っている。240gから221gへと、19g軽量化しているものの、割合はiPhone 15 Proより小さい。軽量化したことをまったく感じられないレベルではないが、インパクトはiPhone 15 Proの方が上だ。iPhone 15 Pro Maxは望遠カメラが刷新されていることもあり、こうした部分でiPhone 15 Proほどの軽量化は難しかった可能性がある。
軽くなった実感はあるiPhone 15 Pro Maxだが、絶対値として重量が221gあり、まだズシリとした重さは感じる
とは言え、2機種ともフレームのエッジが前モデルまでと異なり、丸みを帯びている。ディスプレイのガラスも、わずかにラウンドしているため、手に持った時に優しい印象を与える。iPhone 14シリーズまでのように、長時間使っていても、手が痛くなりづらいのは好印象だ。タッチ操作をした際に指をスムーズに動かせるのも、ディスプレイガラスの形状が見直されたためだろう。軽量化とデザインの変更により、より持ちやすく、操作しやすいiPhoneに仕上がっている。
フレームのエッジが丸みを帯びているほか、ガラスもわずかにラウンドしているため、手になじみやすくなった