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大手企業の人事担当とコスメブランドの代表取締役に聞く女性活躍推進の最前線

2023.10.18

欧米との違い

バルカー後藤氏は米国大学院への留学経験や外資系企業での勤務経験から、米国の企業の環境や風土についても通じている。日本企業との「男女平等」に関する差異はどのような点にあるだろうか。

「環境的な面でいえば、外資系企業勤務時は担当役員も女性、リーダーシップチームのメンバーも半数以上が女性でした。また男女問わず、女性が海外に赴任して男性パートナーが仕事を辞めて女性についていく、あるいは、事業部長などシニアリーダー層が男女問わず育児休暇を取るといったこともありました。私は良い意味で自分が女性だから、ということをまったく意識しませんでしたし、私自身を表す枕詞に『女性』という言葉がつくこともありませんでした。

風土の面では、欧米では日本よりも性差別やバイアスにつながるような言動に対して厳しく、外資系企業では男女平等に対して非常に力を入れていたという印象があります。一般社員・管理職問わず、関連する研修も多かったです。ただ、個人の考え方によるところも大きく、日本人で私の子どもと同年代のお子さんがいる方から『子どもが小さいうちはお母さんがそばにいた方がいいのに、出張大変だよね』と言われて、『お父さんがそばにいてもいいのではないですか?』と逆に質問した記憶があります」

メッセージの打ち出し方にも配慮が必要

後藤氏は、女性活躍をあまりに推しすぎると、問題が出てくると話す。

「一般的なお話ですが、女性幹部比率の向上に力を入れ、社内で『女性活躍』のメッセージを強く打ち出しすぎると、女性昇格者に対して『女性だから昇格したのでは』『女性は得』ということを言い始める人が出てくるおそれがあります。女性自身も、自分が女性であることを理由に昇格したいとは思っていませんし、そのように見られたくもない中で、メッセージの打ち出し方はむずかしいと思います」

キャリア志向ではない女性への対応

(画像はイメージ)

近年は女性活躍が推進されている一方で、実態としては、女性側は必ずしもキャリア志向とは限らない。子育てや趣味に生きたい人もいる。企業や人事はどのような対応をすべきだろうか。後藤氏は次のように回答する。

「女性でも、男性でも、キャリア志向ではない社員はいます。逆に言うと、もし男性は『キャリアを積み、出世をして、家族を養う』ことが期待されるのであれば、その期待も無意識のバイアスであり、男性の生き方を縛る性別役割分業的な考えではないでしょうか。ある女性が本当にキャリア志向でなければそれを尊重しますが、そうではなくて、ただ単に自分の力を見誤っていたり、管理職の業務イメージや面白さを知る機会がなかったりするのであれば、是正するためのアクションが必要だと考えています。

そして制度があってもそれを活かし、使える環境にするのは人です。当社理念の一つは『人格と個性の尊重』ですが、まさに多様な価値観の社員が最大限成果を発揮できる環境を作るための人つくり・文化醸成にはこれからも力を入れて取り組んでいきますし、その中で、人事として社員の可能性を最大化して企業の成果につなげられれば幸いです」

日本企業の女性活躍推進は必要だが、それを推し進めるには工夫が必要。あえて押し出すことはせず、配慮を行うことが求められる。

【取材協力】

後藤 智子氏
株式会社バルカー 執行役員人事部長 兼 人材開発担当
東京大学教養学部卒業、ジョンズ・ボブキンズ大学 高等国際関係大学院修了(MA)、ダートマス大学 タックスクールオブビジネス修了。外資系コンサルティングファーム、海外留学、外資系製薬会社などのグローバルなキャリアを経て「日本人のアイデンティティを活かしながら日本産業を盛り上げる一端を担いたい」との思いで、世界で戦う創業およそ100 年の製造業、バルカー入社。現在は執行役員人事部長 兼 人材開発担当。

板橋 理恵氏
MTコスメティクス株式会社 代表取締役
2005年にMTコスメティクスを設立。一般販売していない化粧品にも関わらず、国内外の女性誌で数々の賞を受賞。現在、国内では約5,000軒の美容クリニック・エステなどに導入の他、中国をはじめとして世界17ヵ国で販売中。

【調査出典】
厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」

文/石原亜香利

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