米国起業家列伝シリーズ「イーロン・マスク」
2023年現在、イーロン・マスクといえば、テスラ、スペースX、スターリンク、Xなど、誰もが知っているグローバル企業を率いる起業家として知られています。
そこで今回の米国起業家列伝シリーズでは、イーロン・マスクとはどんな人物なのか、その生い立ちや今後のビジョンについて深掘りしていきたいと思います。
生い立ち
1971年6月28日、南アフリカでイーロン・マスクは生まれました。
母のメイ・マスクは栄養士、父のエロール・マスクはエンジニア、それから弟のキンバル、妹のトスカの5人家族の家庭で育ちましたが、幼い頃に両親は離婚し、17歳のときに父親は飛行機事故で亡くなっています。
幼い頃からコンピュータやテクノロジーに興味をもっていたイーロンは、18歳になると米国に移り、ペンシルバニア大学で物理学と経済学を専攻し、卒業後にスタンフォードの大学院に入学しますが、2日で退学します。
その後、弟のキンバルとともにオンラインコンテンツ会社「Zip2」を起業します。
Zip2、X.com、ペイパル、そしてスペースXへと続く
1995年にイーロン・マスクが設立した「Zip2」は、オンライン新聞に地図や道案内、タウンページのようなビジネス案内などのコンテンツをオンラインで操作できるサービスを開発して、大きな成功を収めます。
1999年には、CompaqによってZip2が買収され、イーロンは数百万ドルを手に入れました。
同年、今度は「X.com」というオンライン銀行サービスを設立しますが、同時期に同業のライバルとしてピーター・ティール率いる「コンフィニティ」と激しい競争をすることになります。どちらにとっても競争にメリットがなかったため、2000年になると両社は合併します。
こうして誕生した会社が「ペイパル」です。
そして2002年、イーベイがペイパルを買収した際に、ペイパルの筆頭株主であったイーロンはペイパルを手放し、約1億8000万ドルもの大金を受け取っています。
けれど、どんな大金を得てもイーロンの野心が冷めることはありません。
実際、その資金のほぼ全てを宇宙開発を進める「スペースX」に注ぐことになりますが、なぜ宇宙を目指すのかというと、イーロンの目標は「人類が宇宙で暮らせるようにすること」だからです。
そのため、イーロンは独学でロケット工学を学び、ロケット開発のコスト削減に着手します。
こうしてイーロンは従来のロケット製造方法を根本から見直し、たった10数年で打ち上げコストを何千万ドルも削減させます。 またブースターロケットの軟着陸を実現するなど、ロケット分野における数々のマイルストーンを達成しています。
このように、イーロンが目指す目標は人類の火星移住の実現であり、その挑戦は現在も続いているのです。