洗練されたモータードライブを実現
出足の走行フィールもまた絶品だ。モータードライブならでは、というより、かなり洗練された濃厚なモータートルク感、タイヤの回転フィール、精密感あるステアリングフィール、乗り心地に、走り始めた瞬間から感動できたほどだ。ただし、BMWのBEVのような軽快感は、ない。質の高い重厚感が支配する乗り味だ。
もちろん、一般道を流している時の車内の静けさも一流だ。フロント235/50R20、リヤ255/45R20サイズのタイヤを履く乗り心地そのものはやや硬めながら(20インチだから当然か)、表現するのがなかなか難しいのだが、ふわっとフラット・・・という乗員の体にやさしいタッチに終始。アクセルペダルを踏んだときのモータートルクの出方はドライブモードがノーマルの場合、意外なほど穏やかでジェントル。これなら後席で寝ている乗員を起こすこともないだろうし、パフォーマンスダンパーの効果の一つでもある車酔いの低減にもつながるに違いない。※トヨタ車同様、オートブレーキホールド機能にメモリ―機能がないのは残念。
首都高に入れば、継ぎ目を走破したときのいなし方にも感心させられる。あれっ、いつもの継ぎ目からの入力(音、振動、ショック)がこんなに小さくなったのか、と思えたほどだ。基本的なレクサス一流のボディ、足回り剛性の高さとともに、リアルタイムに減衰力を最適化する周波数感応ダンパーが功を奏しているはずだ。サスペンションがエアサスではなく、一般的なバネでこの乗り心地を実現しているあたりは、レクサスならではの手腕と感心せざるを得ない。
そして合流などでアクセルペダルを深々と踏んだ時のスムーズでありながら強力な加速力も文句なし。ドライブモードをスポーツモードにセットすれば、さらなるアクセルレスポンス、強烈な加速力が味わえるだけでなく、アクセルオフでの回生減速動作も高まり、ブレーキなしでの車速維持、先行車との車間維持がたやすくなる(パドルシフトも完備)。つまり、高速走行での走りやすさもまた高まるというわけだ。ただし、ドライブモードの物理スイッチは存在しない。デイスプレー右の車両ボタンをタッチし、トップのドライブモード画面から選択する2タッチが必要になる・・・。
また、車両の走行状態に応じたモーターの走行サウンドによって快適なドライブ空間を演出するASC(Active Sound Control/Acceleration Sound Control)を備えているからか、スポーツモードではモーター音がうるさくない程度の快音に聞こえる演出もなされているようだった。
車内の静粛性の高さは高速走行に入っても不変だ。とくにロードノイズ、風切り音の小ささが、例えば同じトヨタ製BEVのbZ4Xとの差となって感じられる。