DIME MAGAZINE
自宅トレーニングにも取り入れやすい、バランスボールなどのエクササイズギアも、使い方によっては腰痛緩和の効果が期待できる。その〝対・腰痛〟的な使い方をフィジカルトレーニングの専門家に聞いた。
アメリカスポーツ医学会
認定運動生理学士
中野ジェームズ修一さん
青山学院大学駅伝部など多くのトップアスリートの個人・チームトレーナーを務める。東京・神楽坂にある会員制のパーソナルトレーニング施設「CLUB100」最高技術責任者。
効果的なギアを正しく使って腰痛ケア
体幹トレーニングやエクササイズのために使われることが多い、バランスボールやストレッチポール。ジムなどでもよく見かけるこれらのギアも的確に使用すれば腰痛対策がより効果的なものになる。
「腰痛は様々な原因で引き起こされますが、エクササイズギアを使って腰痛を緩和する方法も多数あります。腰そのものにアプローチする方法、腰周辺の筋肉をほぐしていく方法など、いろいろ試してみると、運動効果の向上にもつながりますし、何より楽しく取り組めるはずです」（中野さん）
その際、大事なのは、基本的なギアの使い方をマスターすること。
「バランスボールはサイズが大切ですし、マッサージボールは硬すぎると逆効果になります。自分の身体の状態を考えながら、最適なギアを正しく使って腰痛改善につなげてほしいですね」
デスクワークの休憩タイムに姿勢改善&体幹強化
バランスボール
もともとはリハビリ用器具として開発されたフィットネスボール。特有の弾力や不安定さを利用して、ほかの器具では効かせるのが難しい部位を刺激することができるのがメリット。腰痛に効果的な体幹部や股関節周りにも、確実に作用する。
〈Nakano’s advice〉身長175cm位の場合、膝の角度が90度になる、65cmサイズが目安です。空気を入れすぎると接地面が小さくなり、扱いが難しくなるので注意。
ギムニク『バランスボール プラス 65cm』8140円
耐荷重は300kgと丈夫で様々なトレーニングに使用することが可能。万が一穴が開いても、すぐに破裂せずゆっくりと空気が抜ける、安心・安全仕様もうれしい。
骨盤周りの筋肉を中心にほぐす【前後左右moving】
骨盤周りには、浅層から深層までたくさんの筋肉が付着し、複雑な動きをコントロールしている。その筋肉群が凝り固まることも腰痛の一因。バランスボールに座り、なるべく頭の位置を動かさないように、骨盤を左右、前後に「ほぐれたと感じるまで」動かしていく。
HOW TO
「動かすのは骨盤」という意識をもって、前後左右にゆっくり動かす。上体は立てたまま、腰から下だけを動かす。前後運動は腹筋に力を入れて。
〝腰〟を支える筋肉を鍛える【ボールプランク】
スポーツ選手などのトレーニングメニューにも取り入れられている〝プランク〟。身体の前側にある腹筋群をはじめ、反対側の背筋も鍛えられる。前と後ろの筋肉で腰をしっかり支えられるようになれば腰痛の予防になる。
HOW TO
四つん這いになり、両足をバランスボールに乗せる。腰を反らせないように「真っすぐ」にした状態をキープ。
リラックスもマッサージも。多彩な用途の万能ツール
ストレッチポール
日常の基本となる姿勢や動きを整えるエクササイズツール。乗るだけで骨盤を調整する効果のほか、背中周りの筋肉の緊張を和らげるリラックス効果も期待できる。さらにマッサージギアとしても優秀とあれば、一家に1本備えておきたい。
〈Nakano’s advice〉仰向けになり「フタ」の部分を足側に置いて身体を乗せます。仙骨、胸椎、後頭部の3点を接地させ脱力するのが基本の姿勢です。
LPN『ストレッチポールEX イエロー』1万769円
沈み込みすぎない反発力と適度な硬さを持ったスタンダードなタイプ。PVCカバーがついて汗や汚れに強いほか、ヘタたりにくく耐久性も十分で、長く腰痛ケアに使っていける。サイズ：L約98×Φ約15cm、重量：約700g
股関節を緩めてリラックス【ワイパー】
股関節は足の振り出しなど、身体の動きに関わる重要な部位。股関節周りの筋肉が凝り固まってスムーズに動かなくと、腰をひねるなどの動きでカバーすることに。結果、腰周りの負担が増えるので、柔軟性を維持しておきたい。
HOW TO
ストレッチポールに乗り、股関節を中心に内旋（内側に回転）。外旋（外側に回転）を交互に繰り返す。ゆっくり動かすのではなく「パタン、パタン」と素早く動かす。
違和感に直接アプローチ【腰背部マッサージ】
腰から胸の近くまで広範囲に体幹部を支える胸腰筋膜がターゲット。コルセットのように腰部（体幹部）を包んで支えていて、デスクワークでも負担がかかり、こわばりや引きつりを感じる部位なので、まめなケアを怠りなく。
HOW TO
ストレッチポールを左の腰に当たる位置に置く。お尻を上げて上下にゴロゴロと転がしマッサージ。刺激の強さは肘で支えて調整する。
取材・文／今 雄飛 イラスト／コタケマイ
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