近年、IT業界のM&Aが加速しているという。その背景にあるものは? IT業界におけるM&Aを数多く手がけるM&Aキャピタルパートナーズのトップコンサルタント山﨑研氏に、IT業界のM&Aの特徴と最新トレンドを聞いた。
IT業界のM&Aが活発化する背景
M&A(エムアンドエー)とは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略で、2つ以上の企業が一つに合併したり、一つの企業が他の企業を買ったりすることを指す。
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
企業情報部 部長 山﨑研氏
山﨑氏は、コンサルタントとして活動する中で、数あるM&Aのうち、特にIT業界が目立っていると話す。
「国内のM&A市場においては、買手または売手のいずれかがIT業界という件数が、2022年公表ベース(※レコフデータ調べ)で1,812件と全業種の約4割となっており、全業界でM&Aがもっとも活発な業界となっています」
その背景にはどのようなことがあるのか。
「IT業界は国内の他の業界と比較して、需要が右肩上がりに伸び、急速に拡大している市場です。デジタル・イノベーションが急速に進展しており、進歩した技術に対応できる人材が必要となっています。
その結果、市場の急拡大による深刻な人材不足と採用難やデジタル・イノベーションの急速な進展に対応できるエンジニアの確保など、成長産業ならではの問題に直面しています。
そのようなIT業界におけるさまざまな課題の解決策の一つとしてニーズが高まっているのが、M&Aです。
買手企業としては、より高い技術力を持つ人材の確保や、自社人材を売手企業の人材と交流することで技術力の研鑽を目的とすることが多く、売手企業としては、自社の採用力の強化を目的としたM&Aが増えています。また、同業同士のM&Aのみならず、ICT・DXの内製化を目的とした、他業界の企業がIT企業を譲り受けるM&Aも増加しています」