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NASAが開発した新型宇宙服「AxEMU」、見据えるのは50年ぶりの月面着陸計画のさらに先

2023.10.10

宇宙空間ではなく、地面での作業を想定

これらの計画を支える重要な要素の一つが、NASAが新たに開発した惑星探査用の宇宙服『AxEMU』だ。従来の船外宇宙服は船外活動ユニット(EMU)と呼ばれるもので、宇宙空間上での作業に適した構造となっており、惑星探査用に設計されていない。また、惑星探査用の宇宙服はアポロ計画以降作られていない。

NASAは新たな宇宙服の設計に長年取り組んできたが、膨大なコストや技術的問題を理由に、民間企業に開発を委ねることにした。複数の企業によるコンペの結果、アクシオム・スペース社が採用となり、AxEMU開発に至った。

新型宇宙服AxEMUの全体像。スタイリッシュなデザインが目を引く。

過去に作製された宇宙服は、使用する宇宙飛行士のサイズに合わせてオーダーメイドされたものがほとんどで、サイズの調整ができないという欠点があった。そこでAxEMUは様々な体格や性別に合うようになっている。また、最長約8時間の月面歩行が可能なように軽さと柔軟性を両立。従来の宇宙服では難しかった、足を曲げてしゃがんだり膝をついたりすることが可能になったほか、方向転換も容易になったという。これはインフラ整備をはじめとした月面における拠点の作成や地表のサンプル採取などに大いに役立つだろう。

技術的側面もさることながら、その見た目も従来のものとは大きく異なっている。実際の活動時には白基調のデザインとなるものの、黒地にオレンジと青の差し色、そして膨張感がなくなり、より〝スーツ〟らしさを感じられるそのビジュアルからは、機能性だけでなくデザインも重視したいというNASAの意図が感じられる。

その背景には、アルテミス計画のその先、民間での月面旅行を始めとした活動を視野に入れているようにも感じる。宇宙服の究極系は普段我々が着ている衣服のような感覚で着用できるもので、動きやすくファッション性も高いことが求められる。AxEMUからは、少しでも従来の宇宙服が持つ、重厚で野暮ったいイメージから脱却を図り、民間利用を見据えたデザインになっているように感じた。

AxEMUはまだ公開されていない情報が多く、本記事に載っていない新たな情報がこれから続々と公開されるだろう。2024年からいよいよ有人での月面飛行が始まるアルテミス計画。過去のアポロ計画とは違い、われわれ民間でも月面へ到達できるための足がかりとなる計画だ。さらに火星など月以外の惑星へもいずれ展開されることが予想される。これらの壮大な宇宙計画において、AxEMUのような次世代宇宙服が果たす役割はとても大きいものになるだろう。

取材・文/桑元康平(すいのこ)
1990年、鹿児島県生まれ。プロゲーマー。鹿児島大学大学院で焼酎製造学を専攻。卒業後、大手焼酎メーカー勤務などを経て、2019年5月から2022年8月まで、eスポーツのイベント運営等を行うウェルプレイド・ライゼストに所属。現在はフリーエージェントの「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのプロ選手として活動中。代表作に『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』(小学館新書)。

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