NASAが各国協力のもと進めている、アポロ計画以来50年ぶりとなる月面有人探査計画「アルテミス計画」。成功の鍵を握るのが、月面での活動を支援するために新たに開発された船外宇宙服『AxEMU』だ。従来の宇宙服が抱えていた様々な課題を解決するべく、様々な機能が盛り込まれたAxEMUが果たす役割とは。
半世紀の時を超えて再始動した月面着陸計画
人類の宇宙進出と聞いて真っ先に思い浮かべる出来事の一つは、1960年代に実施された人類史上初の月面着陸計画「アポロ計画」だろう。計6回の月面有人着陸に成功したこの計画以降、資金的・政治的理由など様々な要因が重なり合い、新たな月有人計画は生まれなかった。
50年の時が流れ、2019年にNASAは新たな月面有人探査計画「アルテミス計画」を発表した。2024年後半から2025年初頭に有人衛星を月周回軌道に乗せ、2025年以降に有人での月面着陸を目指し、最終的に月面基地の開発を行なうという計画だ。
2022年には第1段階となる宇宙船の無人試験飛行に成功。第2段階となる有人月周回試験飛行を2024年11月に、第3段階となる月面着陸を2025年末に予定している。
2022年11月、フロリダ州にあるNASAケネディ宇宙センターより、宇宙船オリオンを搭載したアルテミス1号が打ち上げられた。月を周回した後、22年12月に太平洋に着水し無事帰還した。