会社の堪忍袋の緒がキレる
3度もやらかしているので、社長がXさんと面談します。Xさんは暴行を認め社長に謝罪しました。
社長が「次、暴力を振るったらクビだからな」と伝えたところ、Xさんは「はい、すみません」と言いました。
胸をコツっ
ある日、Xさんの担当じゃない顧客の製品の中に、Xさんの担当する顧客の製品が紛れ込んでいました。社長はXさんと面談します。社長が追求するとXさんは「私はやってないです」と答えました。
社長はムカつきました。Xさんが自己保身の態度をとったからです。品質リーダーという立場にあるのそんな態度をとってきたたので、社長は「自分の胸に聞いてみろ」という意味でXさんの胸を軽く叩きました。
解雇
約1ヶ月後、Xさんは解雇されます。Xさんは解雇無効を求めて提訴しました。
ジャッジ
裁判所
「解雇はOK」
裁判所は「本件解雇は社会通念上、相当」と判断しました。段階を踏んで処分を行っていることも1つの理由とされました
・チョンボ1 口頭で注意した
・チョンボ2 減給処分
・チョンボ3 両者から事情を聴取して処分を慎重に検討
解雇ってなかなかOKにならないんですが(労働契約法16条)、ここまでのことをやらかしたらOKになりました。
▼ 暴行のあと、和解した?
こんな一幕もありました。
Xさん
「私が殴ってしまった部下とは和解しています。この部下は私に処罰感情を抱いていません」
ーーー 部下の方、ホントですか?
部下
「暴行されたあとにXさんから真摯な謝罪はありません。暴行の件で和解したことはないです」
裁判所
「そのようだね」
▼ 自分の胸に聞いてみろ、コツっ
Xさん
「社長が私の胸を拳で殴ってきました」
ーーー 裁判所さん、この「コツっ」はどう評価しますか?厳密にいえば手を出してますが
裁判所
「『自分の胸に聞いてみろ』という意味で胸をたたいたにすぎず、害悪を加える意図はなかったので暴行とは評価できないですね。パワーハラスメントにあたらないです」
この程度じゃ暴行とは評価されません。
ほかの裁判例
ほかにも裁判所が「この社員の解雇OK!」と判断した裁判例を解説しています。良ければご覧ください。
さいごに
今回の社員は解雇OKとなりましたが、仕事のミスくらいで解雇OKになることは、ほとんどありません。日本の労働法は労働者をカナリ強力に保護しているからです。
▼ 相談するところ
もし会社に「解雇だ!」と言われた方がいれば労働局に申し入れてみましょう(相談無料・解決依頼も無料)。
労働局からの呼び出しを会社が無視することもあるので、そんな時は社外の労働組合か弁護士に相談しましょう。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな〜」があれば下記URLからポストして下さい。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
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