猛暑日が続いた今年の夏。少しでも暑さを和らげるために、多くの人が冷たい飲み物・食べ物を求めたことだろう。
では、冷たいものの代表格と言えるビールとアイスの売上は今年、気温の上下に影響を受けたのだろうか?
カタリナ消費者総研はこのほど、気温とビールおよびアイスの売上の関係性に関する分析結果を発表した。
本記事のデータは、気象庁が発表している東京都の2023年5月から2023年8月までの最高気温データと東京都のカタリナネットワーク内で同じ2023年5月から2023年8月までに買い物をした人の購買データを使用している。また、気温との関係性をより発見しやすくするために調査対象エリアを東京都に限定している。
ビールの売上と気温の関係性はあったのか
今回は、ビールを大きく「国産ビール」「ビール(プレミアム)」「ノンアルコールビール」に分けて見ていく。
国産ビールは気温との相関関係がほとんど見られなかった(相関係数0.21)。最高気温が35度を超える7月なかばからは、購入者数はやや減少する傾向も見てとれる。
プレミアムビールについては、国産ビールよりさらに気温との相関関係は見られない結果となった(相関係数0.04)。やはり国産ビール同様、最高気温が35度を超える7月なかばからは購入者数に減少傾向が見られる。
最後にノンアルコールビール。相関係数が0.69と、気温と売上の相関関係が確認できた。グラフを見るとわかる通り、ノンアルコールビールは気温が上がるにつれて、購入者数が上昇している傾向がある。最高気温が下がっているタイミングで、購入者数が減少しているところも多く見られ、気温と購入者に関係性があるのがわかる。
ビール(国産)の相関係数は0.21、ビール(プレミアム)は0.04、そしてノンアルコールビールは0.69となった。この結果から、ノンアルコールビールの売り上げは気温の上昇と強い正の関連がある一方、ビール(国産)やビール(プレミアム)の売り上げは、それほど気温の影響を受けないことがわかった。
アイスクリームの売上と気温の関係性はあったのか
アイスクリームカテゴリーは「単品ハンドアイス」「単品カップアイスクリーム」「マルチパックアイスバー他」「プレミアムアイス」に分類して見ていく。
単品ハンドアイス他は、いわゆる、片手でもって食べられるタイプのアイスで、バータイプやパウチに入っているアイスなどのグループだ。相関係数が0.84と、気温との強い関係性が見られる。
単品カップアイスクリームは、カップに入ったアイスだ。カップアイスクリームは価格の高いプレミアムも別にあり、このカテゴリは価格の低めのカップアイスクリームを指している。相関係数は0.82と、高い値を示している。
マルチパックアイスバー他は、バータイプのアイスが複数本箱に入って売っているタイプのアイスだ。単品よりもやや小ぶりのアイスで、ファミリータイプとも言える。相関係数は、単品ハンドアイスの0.84を超える0.85で、非常に気温との関連が強い値が出ている。
価格帯の高いプレミアムアイス。グラフを見れば一目瞭然だが、気温の変化との相関性をほとんど見ることができない。相関係数も0.1、気温との関連は非常に弱いカテゴリとなっている。相関係数が0.7を超えてくると強い関連性があると言える。逆に0.1台というのは非常に関連性が弱いことを示しており、プレミアムアイスは気温とは別の理由で購入されていると考えられる。
まとめ
この分析から、東京の夏において、ノンアルコールビールや一部のアイスクリームカテゴリーの売り上げが、気温の上昇と強く関連していることがわかった。しかし、すべての商品が同様の関係性を持っているわけではなく、商品カテゴリによっては、気温の上昇と売り上げの間に強い関連性が見られないものもあることがわかった。
なかでも“プレミアム”というカテゴリに分類された商品は、ビールにおいてもアイスにおいても、気温との関係はほとんど見えてきていない。喉を潤す、体を冷やすといった機能的な需要よりも、嗜好性が強く「ごほうび」などといった心理的な需要によって購買が起きているのではないかと考えられる。
構成/こじへい