職場の悩みとして挙げる人が多い、人間関係。一口に人間関係の悩みといっても様々な種類がありますが、会社にある「派閥」に振り回されている人もいるのではないでしょうか。
「派閥なんて、くだらない」と仕事に集中しようと思っても、人間関係の複雑さは気がつかないうちに仕事に影響を与えるもの。重要な連絡が回ってこなかったり、よくわからない噂を立てられて評価が下がったりなど、知らないうちに足を引っ張られるかもしれません。
今回は、会社の派閥争いに巻き込まれないためのヒントを紹介します。
派閥とは?部や課との違いを確認
まず「派閥」の意味をおさらいしましょう。仕事内容でグループ分けされた部や課とはどこが違うのでしょうか。
デジタル大辞泉(小学館)によると、派閥(はばつ)とは「出身・縁故・利害・政治的意見などで結びついた人々が形成する排他的な小集団」とのこと。
ポイントは排他的であること。自分たちとは違う人は受け入れない集団であることがわかります。
「派閥争い」と言われるように、派閥に対してネガティブなイメージを抱く人もいるかもしれません。しかし社内で部署や仕事内容の垣根をこえて、出身などの共通点でつながりを持てることは貴重なこと。人と人とのつながりは心の豊かさはもちろん、仕事上でもメリットになることがあります。
一方で、派閥間で対立が起こって足の引っ張り合いなどが始まってしまう場合には、巻き込まれた人はもちろん、会社全体に大きな負担になる可能性があるでしょう。
以下は、ネガティブな意味の派閥を前提とした説明をしていきます。
派閥ができる背景
どのような組織にでも程度の差こそあれ、派閥とよばれる存在はあるでしょう。そのような中でも「あの会社は派閥争いが激しい」とよばれる組織にはどのような特徴があるか、挙げてみました。
多様性を受け入れていない
派閥には他を受け入れない排他性があることから、多様な意見や新しい風を受け入れることを良しとしない組織で派閥が生まれやすいと考えられます。また、意思疎通がうまくとれていない組織も他の意見を取り入れる体制が整っていないため、派閥が生じやすいでしょう。
「何を言うか」よりも「誰が言うか」が重視される
「何を言うか」よりも「誰が言うか」が重視され、かつその顔ぶれが長いこと変わらない組織の場合、力のある人間を中心に派閥ができあがる傾向があります。志をもってその人がいる派閥に入る人もいれば、「その人の周りにいればとりあえず安心」と考えている人もいるでしょう。
競争が激しい
組織では上層部になるほど派閥争いが激しくなるとされています。限られた数のポストを、たくさんの人が奪おうとするからです。自分もしくは仲間がより影響力を持てるポストにつけるよう、足の引っ張り合いなども起こることもあります。
派閥争いに巻き込まれないために意識したい4つのこと
チームやサークルには所属していても、排他的で他の足を引っ張ろうとしている派閥には関わりたくないと思う人も多いでしょう。「複雑な人間関係に悩みたくない」と思う人のために、派閥争いに巻き込まれないためのヒントを紹介していきます。
1.どの派閥にも属さないことを表明する
業務以外のことに関しては、自分はどのグループにも所属しないことを宣言してしまいましょう。「そういう人」だと認識されれば、声をかけられることはないでしょうし、邪推されることもなくなるでしょう。
2.八方美人にはならない
どの派閥にも属さないからといって、どの派閥にもいい顔をするのは控えましょう。信頼をなくすことに繋がります。いい顔をするのではなく、中立的に、一定の距離を持って付き合うことをおすすめします。
3.特定の情報源だけに頼らない
特定の人たちからの情報ばかりに触れていると、客観的な判断ができなくなります。気がつかないうちにその人たちの情報が正しい、他は間違っているといった感覚になり、派閥に巻き込まれてしまう可能性があります。
4.他者の意見も尊重する
自分の意見がどんなときも正しい、他人は間違っているという意識がある人は、自分と同じような人たちとつるみたがります。そして気がつくと派閥を形成し、自分たちの意見が正しいことを他者の足をひっぱることで証明しようとする人になってしまうかもしれません。
〇〇〇
10月から新しい会社や部署で働き始める人もいるでしょう。ジョインする前は、その組織にどのような派閥があるのか、そして対立が激しいかなんて、そう簡単に把握できるものではありません。
まずは職場の人間関係を観察し、複雑さを感じたら、今回お伝えしたヒントを参考にしてみてください。
文/やまさん
保有資格:キャリアコンサルタント(国家資格)/キャリア・デベロップメント・アドバイザー(日本キャリア開発協会)