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「AIを使って人間の可能性を底上げする」Google日本法人代表が語るAI戦略

2023.10.22

AIの急速な進化が注目を集める中、その最前線を行くGoogle。世界のテックジャイアントが今、インフラ、人材育成の両面から、日本のデジタル化を後押しする理由とは?

奥山真司さんグーグル合同会社 代表
奥山真司さん
1965年生まれ。早稲田大学卒業後、P&Gに入社。2008年P&G Korea社長、12年P&Gジャパン代表取締役社長を歴任後、16年に江崎グリコで常務執行役員マーケティング本部長に就任。21年2月より現職。

インフラと人的資本に投資し日本のデジタル化に貢献

 昨年秋、来日したCEOのスンダー・ピチャイと一緒に岸田首相にお会いして、Googleの「デジタル未来構想」──日本のデジタル化に向け、インフラと人的資本に投資していく取り組みについて、お伝えしました。

 まずインフラでは今後、Google製品へのアクセスの高速化とともに、安心安全かつ安定的にサービスを提供するため、千葉県の印西市にデータセンターをオープンしました。また、カナダと日本を結ぶ、海底ケーブルも敷設予定です。一方の人的資本では様々なパートナーとともに、リスキリングを含む人材育成に注力しています。「デジタル未来構想」ではこれらを合わせて、日本のデジタル化に約1000億円を投資します。

 Googleはグローバルカンパニーですが、日本というマーケットをとても大事にしています。日本がGoogleにとって初めての海外拠点ということもありますが、日本のユーザーの方々には高い需要があり、検索をはじめ我々の製品に触れていただく機会や頻度が高く、幅も広い。検索には日本専任のチームもあり、ローカライズにおいても優先度が高いです。日本法人の代表として、私自身そのことをとてもうれしく思っています。というのも、私がこの会社でやり遂げたいと思っていることのひとつが、日本におけるGoogleのイメージを変えることだからです。外資というイメージを払拭し、日本に根ざした、ローカルで一番信頼できるパートナーでありたい。ただこれは言うは易し、行なうは難しです。そこで3つの領域にテーマを絞って取り組むことにしました。それが「(1)一人ひとりに力を」「(2)ビジネスに革新を」「(3)社会の進歩に貢献を」です。

 国際競争力にはいろんな物差しがありますが、デジタル競争力では、残念なことに日本は今29位です。テクノロジーやソリューションは、人が使って初めて価値を発揮するもの。(2)と(3)を達成するためにはまず、(1)の個人の能力を引き出していくことが何より大切です。一人ひとりのスキルを高めるために、Googleと一緒に学び、成長していきましょうという「Grow with Google」や、Googleが主幹となって、官民一体の「日本リスキリングコンソーシアム」という取り組みも進めています。発足から1年で、すでに185のパートナーの方々にご協力いただき、キャリアアップに向けたトレーニングから就職支援まで、幅広いプログラムを提供しています。

 (2)、(3)もそうですが、テーマに対して共鳴、共感してくださるパートナーとともにエコシステムを作っていき、より強固でイノベーションにあふれた社会基盤にしていくことが大切だと思っています。例えば(2)では、Googleのビジネスのひとつに広告事業があります。私はマーケティングの世界が長いのですが、AIのテクノロジーとソリューションを用いて、マーケティングの精度、確度を高めていく時代の到来を、肌で感じています。具体例を挙げると、我々のパートナーであるモノタロウさんでは、新規顧客とのライフタイムバリューを高めるために、AIを使って予測モデルを立てるGoogleの製品を導入していただいています。その結果、広告施策のひとつと比較して、ROAS(※)が48%上昇しました。広告がお客様の売り上げと利益を継続的に成長させるソリューションになるという一例です。

 また(3)の世の中で困難だとされている社会課題を解決するという観点においても、Googleのスケール、テクノロジーとソリューションを活用できればと思います。

 例えば、がん研有明病院さんと進めている、AIを用いた乳がん検診の共同研究なども、そうした取り組みのひとつです。ご存じのように乳がんは、日本ではトップクラスの罹患率のがんである一方で、早期発見できれば治療予後が良好になる可能性が高い。この研究は非常に意味があると思っています。

奥山真司さん

効率化の先に、本質的な価値を提供できる未来がある

 今後日本の労働人口が減って、生産性の低下が懸念される中、いかにデジタルの力、AIの力で効率化を進めていくかは、もはや企業の課題というよりも日本社会の課題だと思っています。その課題に対して、Googleはどう貢献できるのか。

 たとえば今、大変注目が高まっている生成AIなどもそのひとつです。弊社でも「Bard」というサービスを試験的に運用しています。私自身、仕事ではもちろん、最近はプライベートでも「Bard」を利用する機会が増えています。自己流の俳句や川柳を評価してもらったりするのですが、褒めてくれることもあれば、全然意図と違う解釈をされることもある。それも含めて、AIと対話することそのものがおもしろいです。便利に効率的にというだけでなく、そのアウトプットに感性が刺激されて、想像力がより高まっていく。より深い考えに行き着ける。そんなふうにAIと向き合うことで、人間の可能性を底上げできると期待しています。

 Googleにとっての主語は、テクノロジーやソリューションではなく、常に人です。エンドユーザーの方々に向けては、検索の体験をより良いもの、便利なものにしていく。そのことに引き続き注力していきます。また企業では今、パーパス経営が言われていますが、人手不足の差し迫った状況の中では、なかなか難しいところもあるでしょう。

 しかしデジタルやAIの力で効率化が進んだ先には、企業が本質的な価値を提供できる未来がある。そのためにGoogleが貢献できることは、まだたくさんあると思っています。

※Return On Advertising Spend。投資した広告費に対して、広告経由の売り上げがどれだけ発生したかを測る指標。

Googleの主語はテクノロジーではなく、常に人

Googleテックジャイアントではいち早く「AIファースト」を打ち出してきたGoogle。今年5月に開催された開発者向けイベント「Google I/O 2023」でも、大規模言語モデル「PaLM 2」に関連するものなど、AIを活用した様々な新サービスを発表。「すべての人に役立つAI」を打ち出している。

取材・文/太田百合子

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この見開きに散らばった各種サービスのアイコンを見て、何を感じるだろうか。「いつも使ってるあのアプリだ」というものもあれば、「こんなことまでやっていたんだ」と驚くものもあるかもしれない。2人の大学生によって生み出された検索サービス「Google」が運用開始したのが1997年のこと。98年の法人化から30年弱で急速に事業規模を拡大していったGoogleの年間売上高は、何と約2580億ドル―― 日本円で約40兆円にものぼる(2021年通期)。テックジャイアントの雄は、私たちの生活にどこまで染み込み、広がりを持たせ、そして豊かにしてくれるのだろうか。

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