病気を理由に降格処分を受け、給料が減ってしまった……
降格や減給に納得できない場合は、その無効を主張できないかどうか検討しましょう。
本記事では病気を理由とする降格処分について、法律上認められるための要件や反論のポイントなどを解説します。
1. 病気を理由とする降格処分は認められるのか?
会社は原則として、労働者と合意することなく、労働条件を不利益に変更することはできません(労働契約法8条、9条)。ただし、一定の要件を満たす場合に限り、就業規則の変更によって労働条件を変更できます(同法10条)。
上記のルールの帰結として、病気を理由とする降格処分を適法に行うことができるのは、以下のいずれかに該当する場合に限られます。
(1)降格処分について、労働者の同意がある場合
(2)降格処分が、労働契約において予定されたものである場合
(3)就業規則の変更によって、適法に降格処分ができるようになった場合
1-1. 降格処分について、労働者の同意がある場合
労働者の同意があれば、降格処分を行っても法律上問題ありません。この場合、降格の理由も問われません。
1-2. 降格処分が、労働契約において予定されたものである場合
もともと労働契約の内容として、降格処分があり得る旨や条件が定められている場合は、そのルールに従って降格処分を行うことができます。
また、労働者を雇い入れた時点で有効だった就業規則において、降格処分に関するルールが定められていた場合にも、そのルールを適用して降格処分を行うことが可能です。
1-3. 就業規則の変更によって、適法に降格処分ができるようになった場合
労働契約を締結した後、就業規則の変更によって労働条件を変更できるのは、以下の2つの要件をいずれも満たす場合に限られます。
(a)変更後の就業規則を労働者に周知すること
(b)就業規則の変更が、以下の事情に照らして合理的なものであること
・労働者の受ける不利益の程度
・労働条件の編呼応の必要性
・変更後の就業規則の内容の相当性
・労働組合等との交渉の状況
・その他就業規則の変更に係る事情
労働者を雇い入れた時点で、労働契約(就業規則を含む)に降格処分に関するルールが定められていなかった場合には、上記の要件を満たす就業規則の変更を行った場合に限り、降格処分を行うことができます。