創業から四半世紀で世界のトップ企業へと成長したGoogle。AIでも世界をリードするが、その一方でビジネスの大きな転換点にあると指摘する声もある。彼らは今何を考え、どこへ向かおうとしているのか。
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Googleはなぜ生成AIで出遅れたのか?
Googleは8月30日から、Google検索の実験的な機能を先行体験できるプログラム「Search Labs」を日本でもスタート生成AIでユーザーの知りたいことにダイレクトに答える、新しい検索機能の試験提供を開始した。生成AIを用いた情報検索は、すでにMicrosoftがOpen AIの「GPT-4」をベースとするサービスを、「Bing」で提供している。見方によっては、検索はもちろん、AIでも世界をリードしてきたGoogleが、後塵を拝したようにも見える。だが同社出身で、ビジネスとテクノロジーの両観点から、時世を紐解く著書を多数上梓する山本康正さんは、「GoogleのAI技術は、テックジャイアントの中で依然トップ群を走っている」と断言する。
「Microsoftは巨額を投じてOpenAIの力を借りましたが、GPTのTは『Transformer』のTです。Transformerは2017年にGoogleが発表した、自然言語処理のための深層学習モデル。今のところこのモデルでは、学習をさせればさせるほど、つまり投資をすればするほど精度が上がるとされています。その意味では、責任やしばりがある大企業より、調達した資金をダイレクトにつぎ込める、スタートアップのほうがやりやすい。ゆえに優秀なエンジニアが、テックジャイアントからOpenAIのようなスタートアップに流れているのは事実です。しかしGoogleは遅れているわけではない。政府対応もあり、慎重さが足枷になっている」
Googleが慎重になるのは、同社の屋台骨ともいえる広告事業が、生成AIによって、大きな岐路に立たされようとしているからだと、山本氏は言う。同社の検索広告は、検索結果に関連するスポンサーのリンクを表示するなど、ユーザーをサイトに送客することで成り立っている。生成AIの回答から知りたいことがダイレクトにわかるようになれば、ユーザーはそのソースであるサイトに、アクセスしなくなるかもしれない。
現在、「Search Labs」にて試験提供されている検索機能では、生成AIがその答えをどのように導き出したのか、ソースとなったサイトが参照できるよう工夫されている。また関連するスポンサーのリンクが最初に表示されるのも、従来の検索結果と同じだ。
「生成AIという新しい波と検索広告のビジネスをどう融合させるか。Googleは今、苦悩しているのではないかと思います。彼らはこれまで、ユーザーが知りたいことと、その情報を提供するサイトをマッチングし、橋渡しをすることでビジネスをしてきた。独自のアルゴリズムで、マッチングの精度を高めてきた一方で、自分たちはマッチングをするだけで、その先の情報には関与しないというスタンスだったわけです。生成AIではその線引きが崩れてしまう。苦悩しつつ、新しいビジネスを模索しているというのが、現状ではないかと思います」