酒販店で有名な会社が、やまやとカクヤスグループです。業界トップを走るやまやは、かつてカクヤスと圧倒的な差をつけていました。しかし、その売上差は今期に200億円程度まで縮まる模様です。
カクヤスは2023年3月期に売上高を3割以上も伸ばし、今期も1割増を見込んでいます。その一方で、やまやは売上高を伸ばし切ることができません。
2社の違いはどこにあるのでしょうか?
消費者向けの酒販事業は好調のやまや
コロナ禍が深刻化する前の2社の売上差は600億円近くありました。このころ、カクヤスは売上高の伸び悩みが鮮明になっており、コロナ禍を迎える前も3期連続の減収に陥っていました。
しかし、カクヤスは2023年3月期の売上高が2020年3月期を上回り、2024年3月期は前期比13.6%の増収を見込んでいます。大復活を遂げました。
実はやまやが伸び悩んでいる理由も、カクヤスが業績を急伸させている理由も、一つのビジネスに集約されます。「居酒屋店」です。
やまやの業績から詳しく見てみましょう。
酒販事業の売上高は、2021年3月期に前期比10.5%増の1,348億5,700万円となり、大幅な増収となりました。
※やまや決算説明資料より
これは2020年に行動制限が課された影響で飲食店の利用機会が失われ、いわゆる宅飲み特需が起こったため。この現象はカクヤス(の消費者向け事業)も同様でした。酒販店は、居酒屋店という居場所を失って漂流する人々の受け皿となりました。
やまやは特需に見舞われたにも関わらず、2021年3月期の会社全体の売上高が1,500億300万円となり、前期と比べて10.8%も減少しました。その主要因となったのが外食事業です。
※やまや決算説明資料より
2021年3月期のこの事業の売上高は157億6,400万円となり、前期と比較して3割程度まで縮小してしまったのです。