さらに会社にお仕置きも!?
裁判所は会社に【お仕置き】をしました。「残業代の不払いが悪質だなぁ〜」と判断すれば裁判所はお仕置きを命じるんです(付加金・労働基準法114条)。具体的には以下の事情を考慮します。
会社の労働基準法違反の程度・態様,労働者の不利益の性質・内容、上記違反に至る経緯やその後の使用者 の対応等諸般の事情
お仕置きの金額をいくらにするかは、裁判所のサジ加減ひとつです。今回のお仕置き金額は以下のとおり
X1に 約18万円はらえ
X2に 約35万円はらえ
X3に 約22万円はらえ
地方裁判所はお仕置きをしなかったんですが、高裁はお仕置きをしました。
ーーー 高裁さん、なぜお仕置きを?
高等裁判所
「地裁判決が出て負けたのに、その後も支払拒絶を継続しており、会社の控訴理由を見ても合理的とは言いがたいからです」
裁判所は、判決が確定するまでの間の会社の態度をつぶさに観察しているようです。
裁判官が「この不払いはクソだ!」とブチギレれば最大で倍返し(半沢直樹)を命じることもあります(たとえば残業代が100万円としたら付加金を100万円もプラスして、合計200万円の支払いを命じます。裁判官を怒らせたら怖いのです)
この時間、給料でないんですけど…
あとよくあるトラブルは、「休憩時間なのに休憩できねー! 働いてるから給料を払ってほしい」というものです。
2つ裁判例をご紹介します。
▼ ガソリンスタンドでの来客対応
あるガソリンスタンドは基本的には1人体制でした。なので以下のルールがありました。
従業員雇用規定
申し訳ありませんが休憩している間も営業に支障をきたさないように業務を優先して行ってください。休憩時間内に業務を行った場合はその分を振り替えて他の時間に取って頂けるようにお願いします
ふざけんなって話ですよね。残業代をゲットしました。
「休憩時間なのにまったく休めない!」という人は覚えておきたい残業代が認められた裁判事例
こんにちは。 弁護士の林 孝匡です。 裁判例をザックリ解説します。 「休憩時間なのに、休憩できねー!」と会社を訴えた事件です。結果、従業員が残業代をゲットしまし...
▼ 薬局での来客対応
この薬剤師さんは、お昼休憩になったあとも30分くらい来客対応をしていました。しかし、会社はこの時間分の給料を払わず。
裁判所は「この分、残業代を払え」と判断しました(日本ケミカル事件控訴審:東京高裁 H29.2.1)。「休憩時間でも来客対応しなさいよ」と暗にプレッシャーがかけられていたようです。
さいごに
着替え時間について給料を払っている会社は、ほぼナイと思います。流れ星を見る確率より低いと思います。
▼ 相談するところ
その分の給料をゲットしたい方がいれば労働局に申し入れてみましょう(相談無料・解決依頼も無料)。
労働局からの呼び出しを会社が無視することもあるので、そんな時は社外の労働組合か弁護士に相談しましょう。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな〜」があれば下記URLからポストして下さい。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
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