物流2024年問題の解決策に! 物流をサポートするソリューション3選
物流は、生活やビジネスに欠かせないインフラであることから、持続可能性は社会的な問題だ。物流業界では生産性向上のためにさまざまな取り組みが行われている。その一つが、テクノロジーを活用したソリューション導入だ。例えばこんなサービスや製品が生まれている。
●NEXT Logistics Japan「NeLOSS(ネロス)」
NEXT Logistics Japanの量子コンピューターを使用した世界初となる自動割り付け×積付けシステム「NeLOSS(ネロス)」は、混載輸送を行う中で得られたノウハウに基づいて、輸送荷物の車両への割り付け・積み付け業務のデジタル化および効率化を実現する。
同社のオンラインセミナーで代表取締役CEOの梅村幸生氏が述べていた内容によれば、現状、物流トラックの積載率は4割を切っており、6割は「空気」を運んでいるという。トラック荷台を使い切り、一人のドライバーでより多くの荷物を運び、業種業態を超えた荷主が1台のトラックをシェアして、積載率及び生産性の最大化を追求するために本サービスを開発したという。
具体的には異業種の荷物をダブル連結トラックで混載して運ぶ。同社は全高4.1m、荷室容積150立方メートル、大型トラック 2.5台分のダブル連結トラックを開発。それをネロスの量子コンピューターのアルゴリズムを用いて自動割り付けと積付けを行うことで、約2時間かかっていた荷物の割付・積み付けが40秒と大幅に短縮されるという。積載率を向上させ、自動荷役による省人化などを実現。賛同荷主42社と共に物流のさらなる効率化を目指す。
●京セラコミュニケーションシステム「パレット管理サービス」
京セラコミュニケーションシステム株式会社のIoTネットワーク「Sigfox」を用いたパレット管理サービスは、利用中の物流パレットが今どこにあるのかを広域で把握できるサービスだ。
物流工程におけるパレットの紛失・流出・滞留・偏在は、コストや手間を要する。その課題を解消し、パレットの長期運用と運用効率向上をサポートする。
デバイスは小型であることから、パレットやカゴ車などに簡単に取り付けられ、位置情報を収集することが可能。Sigfoxは小さなデータのやりとりに特化した通信サービスで、日本の通信サービスエリアは95%(人口カバー率)となっており、どこでも利用しやすい。
アプリケーション上では、パレットがどこに何台所在するのかを表示する。自社物流網から外れたパレットの動きを分析し「紛失・流出疑い」「長期滞留」のパレットをメール通知する。
同社のICT事業本部 ワイヤレスソリューション事業部 副事業部長の川合直樹氏によれば、同サービス導入によって期待される効果として、物流資材の位置や状態の可視化により紛失経路を特定することで、業務改善の指導や追加購入コストの削減を実現することが挙げられるという。また物流資材の数量管理や探索、荷役など輸送に関する業務効率を向上し、輸送ルートの実態把握とデータに基づいた分析により最適な輸送ルートを確立することで輸送コストの削減に寄与する。
これにより、現状の物流課題を改善する見込みがあるという。物流2024年問題解決にも役立つだろう。
●SMKのミリ波センサ「Milweb」
電子部品メーカーSMK株式会社は、物流業界向け製品の一つとして、小型のミリ波センサ「Milweb」を提供している。ミリ波とは波長1~10mm、周波数帯が30~300GHzの電波を指し、短距離の無線通信や物体を検知する特徴がある。
Milwebは独自開発のアルゴリズムを組み合わせたミリ波レーダーの技術を用いたセンサーで、周囲環境の変化から影響を受けにくく、高精度なのが特徴だ。
物流工程においては、同製品による接近検知アラートにより、倉庫での障害物検知に役立てられる。トラックに搭載すれば、ドライバーの仮眠状態の把握などにも活用できるという。
開発背景について、同社の広報室長 古田尚之氏は次のように述べる。
「ミリ波センサは、対象までの距離、速度、角度(方向)を計測できたり、振動の見える化などを得意とするセンサです。しかし、取り扱いには高周波や数学に関する高度な知識が必要となり、導入に向けた実験・検討がむずかしいという課題がありました。この課題に対し、当社ではアルゴリズムからアプリケーションまでをご用意し、お客様がミリ波センサを容易に導入検討できるようにしました。用途については物流業界のみならず、特定の業界・市場に限定せず、幅広くご使用いただきたいと考え、マーケティング・用途提案を行っております」
物流業界一つとっても、さまざまな用途の可能性があることから、物流2024年問題にも役立てられそうだ。
物流2024年問題への対応が急がれる中、テクノロジーを活用することは一つの大きな一助となると考えられる。
文/石原亜香利