コロナ禍が収束した2023年の夏以降、盛り上がりを見せているのが観光業界だ。
いわゆる “映えスポット” と呼ばれる写真映え・SNS映えする観光地は特に人気が高い。人気の観光地となるとマナーを無視した撮影者による迷惑行為や、特定の時期に過剰に人が押し寄せるオーバーツーリズム問題も囁かれている。
一方でこのニーズを逆手にとり、映えスポットや映え体験を打ち出して都市から人を集める地方創生の取り組みが注目されている。
福島県の由緒ある温泉街「いわき湯本温泉」もその1つだ。『いわき湯本温泉 旅館こいと』は老舗宿でありながらコスプレ撮影歓迎の映えスポットとして知られており、県内外から多くの観光客を集めている。
映えスポットは令和時代の地域活性化を牽引するコンテンツ
多くの人の目を惹く映えスポットは、地方に人を集めるフック役として機能する。
令和の今は観光先を探すために個人のインスタグラムやティックトック投稿を参考にする人も多いため、従来の検索エンジンでヒットしなかったような隠れ映えスポットが日の目を見ることもある。拡散力が高いので、ひとたびバズれば広告費をかけずに全国規模の人気観光地になることも夢ではない。
さらに昨今の推し活文化やアニメ人気の拡大と相まって、コスプレでの写真や動画撮影ができるスポットは需要が高い。コスプレ撮影はどこでもOKということはなく、由緒ある寺社や地方ではまだまだコスプレや動画撮影NGとしているケースもよくあるためだ。
福島県の歴史ある温泉地「いわき湯本」に若者たちが集まる理由
そんななか、街をあげてコスプレ撮影歓迎の取り組みをしている珍しい団体がある。福島県のいわき湯本温泉街だ。
いわき湯本といえばあのハワイアンズが有名だが、現在は街中のあらゆるエリアにコスプレ撮影OKな映えスポットが点在する「コスプレイヤーの聖地」として広く認知されている。
森の中の渓谷や海辺などをはじめ、寺社、廃校、カフェなどの施設まで、豊かな自然や1300年以上の歴史ある温泉地の街中でロケーション撮影を楽しむことができるのだ。
その発端となったのが、温泉街にある老舗宿「いわき湯本温泉 旅館こいと」だ。