3. 有給休暇の繰り越しはいつまで?
有給休暇は、付与から2年以内に取得しなければ時効によって消滅します(労働基準法115条)。
たとえば2023年10月1日に付与された有給休暇は、2025年9月30日までに取得しなければなりません。1年以内に取得しなかった有給休暇を繰り越せるのは、さらに1年だけということです。
4. 有給休暇の取得に理由は必要? いつでも取得できる?
有給休暇は労働者の権利であるため、取得に当たって理由は問われません。会社から有給休暇を取得する理由を問われても、労働者には答える義務がありません。
有給休暇は原則として、労働者が希望する時季に自由に取得できます。
ただし例外的に、事業の正常な運営を妨げる場合は、使用者は他の時季に有給休暇を与えることが認められています(労働基準法39条5項)。これを使用者の「時季指定権」といいます。
5. まとめ
有給休暇を取りづらい雰囲気の職場もあるようですが、有給休暇は労働者の権利ですので、ルールに沿って積極的に取得することをおすすめします。会社が不当に有給休暇の取得を拒否する場合は、労働基準監督署などへご相談ください。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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