自己資本比率の計算方法
自己資本比率は、どのように計算するのでしょうか?計算方法を例とともに紹介します。個人事業や勤めている企業のデータを当てはめて、実際に計算してみましょう。
総資本のうちの自己資本の割合を計算
自己資本比率の計算方法は、『自己資本÷総資本×100(%)』です。総資本のうちの自己資本の割合なので、総資本を自己資本で割って算出します。なお、総資本は自己資本と他人資本を足したものです。
例えば、総資本が1,500万円、自己資本が500万円の場合は、『500万円÷1,500万円×100』で計算し、出た答えの約33.33%が自己資本比率になります。
なお、総資本や自己資本は貸借対照表に記されているので、計算する前に確認しましょう。
貸借対照表の見方
貸借対照表は、ある時点での企業の財政状況を示した財務諸表で、バランスシートとも呼ばれています。左右二つに分かれており、左右の合計額は一致しています。
貸借対照表の左側に示されているのは資産の部です。流動資産や固定資産などの勘定科目に分かれており、運用状況を示しています。
右側は上下に分かれており、上部に記されているのが負債(他人資本)の部、下部が純資産(自己資本)の部です。それぞれに複数の勘定科目があり、調達状況を示しています。
なお、自己資本比率を計算するときに用いるのは、左側の資産の合計と右下の純資産の合計です。
自己資本比率を上げるには
自己資本比率が低い場合は、安定した経営状況にするために比率を上げるように努める必要があります。具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか?主な方法を四つ紹介します。
自己資本を増加させる
自己資本を増やすことで、自己資本比率が上がります。自己資本を増やすには複数の方法があり、その一つが、得た利益を投資や消費に使いすぎずに積み立てに回すことです。
この方法は長期的に取り組む必要があり、継続的に利益を上げることが大切です。ただし、得た利益をそのまま使わずにいると法人税などがかかるため、自己資本増加は計画を立てて進めるようにしましょう。
自分が経営者の場合は、自ら出資することでも自己資本を増やせます。株主や投資家から出資を募るのもよいでしょう。
運転資金や固定費を圧縮する
会社経営には、さまざまな費用がかかっています。無駄な運転資金や固定費を削減し、総資本を下げることも大切です。
例えば、人件費の削減があります。経営状況が悪化し、やむなく従業員を解雇したというのは珍しい話ではありません。人件費の削減は、単に解雇するというだけではなく、福利厚生費の見直しや新規採用の停止、給与・ボーナスのカットなども含まれています。
また、複数の事業を手掛けている場合は、赤字続きの事業から撤退するという方法もあります。作業工程を見直して改善したりすることも、運転資金の削減につながる改善策になるでしょう。
不良債権、不良在庫を処分する
長期間回収できていない不良債権を処分することで、改善が期待できます。借入金や未払い金などの他人資本が減れば、総資本も減るためです。回収不可能なものは貸倒損失として経費計上しましょう。
不良在庫を処分することでも、総資本を減らせます。総資本には商品の在庫が含まれており、売れなければ利益になりません。定期的な棚卸しを徹底し、長期間売れていない商品や売れる見込みがない商品を処分しましょう。
不良在庫が減れば、不良在庫の管理にかかっていた管理費の削減にもつながります。
借入金の返済を早める
負債である借入金の返済を早めることで、自己資本比率を上げることが可能です。まずは、借入金の中に返済できるものがないか確認し、できるだけ返済するように努めましょう。
返済に充てる資金がないという状況の企業もあるかもしれません。その場合は、前述した通り運転資金や固定費の削減を実施し、それらで得た資金を充てるという方法があります。
また、同じく負債を減らす方法として、買掛金の支払期間を短くするというのも効果的です。ただし、ほとんどの取引を現金にしてしまうと、キャッシュフローが悪化するリスクがあるため、無理のない範囲で行うことが大切です。
構成/編集部