完成後に急きょ決まったモンスターキャラの設定
デザインにも反映されているモンスターというキャラクター設定は、パッケージデザインを考える段階になってから考えられた。当初は工業製品テイストで開発が進み、現在のように目はなく、色使いもカラフルではなかった。商品名も『前髪セルフカッター』『ヘアカットブラシ』といった名前で考えられており、モンスターというキャラクター設定が決まってから現在の商品名に決まった。
なぜ、急きょキャクター設定をつくったのか? その理由を平山氏は次のように話す。
「カミソリを活用したセルフカット用のアイテムはなく、商品を見ただけでは何をするものかがわかりません。お客様に提示したら『これ何に使うの?』と思われる仕上がりだったので、店頭での視認性を上げ興味を持ってもらえるフックになる要素が必要でした」
モンスターにしたのは、ある社員がたまたま目を描いたことがきっかけになった。怖いというよりは愛嬌があり親しみを覚えるものに仕上げた。例えば、『かんたん前髪セルフカッター』の目の横に、そばかす模様のようなものがあるが、これはもともと、すべり止めとしてつけたもので、目を描いたことでそばかすのように見えるようになった。
商品のカラーリングもモンスターにすることで変更された。モンスターにする前はベージュやブラウンといった落ち着いたトーンのカラーを予定していたが、モンスターっぽくするために変更。ツートーンカラーの『かんたんヘアカットブラシ』は20パターン近く配色を検討した。
販売の肝となったハウツー動画
「2つ合わせて初年度は5万個売れれば……と思っていました」と振り返る平山氏。販売に当たっては、消費者に商品を正しく理解してもらうことがポイントとなった。
このために、ハウツー動画を制作した。平山氏も「ハウツー動画は販売の肝」と言い切るほど。次のように続けた。
「どういう風に使うのか、どれくらい切れるのか、といったことが正しく伝えられないと、怖くて使えないといったことが発生するだろうと思っていました。プロモーションもハウツーを中心に据えました」
『かんたん前髪セルフカッター』と『かんたんヘアカットブラシ』でそれぞれ、セルフカットするときの使い方と、大人が子どもの髪をカットするときの使い方の動画を制作。このほかには、ヘアスタイルに悩む女子高生によるプロモーション動画もつくった。
『かんたん前髪セルフカッター』を使いセルフカットするときの使い方。まず、くしで前髪をとかし、ひとつまみの毛束を取り切りたい位置で挟む。まっすぐ前を見ながら毛束の根元を指で持ち、下にスライドすると、刃の位置より下の部分が切れる。持ち方はすべり止めに軽く指を置いて軽く握る。サイドの髪をヘアピンで留めるとカットしやすくなる
『かんたんヘアカットブラシ』を使いセルフカットするときの使い方。まず、ケープやタオルを肩に掛けたら、すきたい箇所を霧吹きなどでぬらす。くしでとかしてからすきたいところにブラシを当て、髪の内側から毛の流れに沿ってまっすぐおろすと、髪をすくことができる。使うときは段差に指をかけモンスターの目が上を向くようにして持ち、髪をブロッキングするとよりバランス良く調整できる
動画はYouTubeで配信したほか商品のランディングページでも公開。ランディングページに誘導しハウツーを理解してもらうため、各種SNSで広告配信も行なった。
また、ライブブコミュニケーションアプリ『Pococha』と共同で、広告出演権をかけたライバー対象のイベントを実施。入賞者によるイメージ広告を2023年9月4日から10月1日まで、JR新宿駅で掲出している。
2023年9月4日から10月1日までJR新宿駅で掲出される広告3種