YouTubeやNETFLIXといった動画配信サービスが拡充していくのに合わせ、スマートフォンは大画面化の一途を辿っている昨今。あらゆるコンテンツを楽しむという意味では、〝大画面こそ正義〟といえるかもしれませんが、大きくて重い大画面スマートフォンは、「携帯性」という重要な要素を犠牲にしているともいえます。
そんな中、PCメーカーとしても知られるASUSの最新ハイエンドスマートフォン「Zenfone 10」は、5.9インチディスプレイを搭載したコンパクトな筐体が特徴。この「ハイエンド×コンパクト」というコンセプトは、2世代前の「Zenfone 8」から継続されており、国内外で根強いファンがいます。
比較的コンパクトとされるGalaxy S23やGoogle Pixel 7aといったモデルでも、ディスプレイサイズは6.1インチとなっており、5インチ台のスマートフォンはレア度を増している状況。Zenfoneシリーズは、ある意味、時代に逆行しているともいえます。
では、Zenfone 10にも継承されたハイエンド×コンパクトというコンセプトは、多種多様なコンテンツにあふれる現代において、どこまで有用なのでしょうか。実機を試しながら、その実用性に迫っていきます。
「結局、携帯電話はこのサイズがいいよね」と思わされるコンパクトな筐体
先に触れた通り、Zenfone 10のディスプレイサイズは5.9インチ。本体サイズは縦146.5mm×横68.1mmで、成人男性としては比較的手の小さい筆者の手のひらにも、すっぽりと収まるサイズ感です。
コンパクトスマートフォンのよさは、携帯性と操作性にあります。6.5インチを超える大画面を搭載したスマートフォンの場合、ポケットに入れると邪魔になったり、そもそもポケットに収まらないといったこともありますが、Zenfone 10は、Yシャツの胸ポケットに入れても問題ないサイズなので、持ち運びは快適そのもの。また、約172gと軽量なため、長時間使用していても、手首が疲れにくいというメリットもあります。
6.1インチディスプレイを搭載したiPhone 14 Proと比べても、横幅がスリムなことがわかる
大画面スマートフォンの場合、動画や電子書籍、アプリゲームといったコンテンツを楽しむ際に、迫力が得られるというメリットこそあるものの、携帯性に不満が出やすいのに加え、フリック入力がしにくく、メールやチャットメインの使い方だと、少々邪魔に感じるシーンがあります。写真撮影をする際にも、両手で持つのが基本になるでしょう。
もちろん、多数のコンテンツが楽しめるのも、スマートフォンの特徴ではありますが、「携帯電話」としての基本的な機能である、電話やメール、カメラなどを快適に使うためには、Zenfone 10程度のサイズ感が程よいと感じています。
Zenfone 10にはほかにも、片手での操作がしやすくなる機能として、表示画面がディスプレイの下部に移動する「片手モード」や、本体右側の電源ボタンをなぞることで、スクロールや動画の早送り、巻き戻しといった操作ができる「ZenTouch 2.0」といった機能が豊富に搭載されています。「携帯電話を片手で扱う」という、基本に立ち返ったスマートフォンともいえるでしょう。
電源ボタンをスワイプしてスクロールといった操作ができる「ZenTouch 2.0」を搭載