ドンキがAIを活用した価格設定を導入!「価格ミル」とは一体なに!?
私たちの社会では、前々からAIを活用した産業がひしめいている。
個人的に驚いたのが、農業におけるAIの役割。
何かと人の手がかかる農作業で、農薬散布をドローンが担ったり、作物の生育環境を管理するAIなども既に導入・実用化されている。
交通関係に目を向ければ、AIが車の自動運転を円滑に行う時代になっている。
また、交通事故事例をまとめたデータの集約なども行われている。
将来的には集約されたモニタリングデータを参照とした事故防止のための取り組みにも役立っていくものと思われる。
依然として何もかもAI頼みというわけにはいかないが、AI技術の普及によって、私たちの生活はより充足していくだろう。
今回は、AIを活用しつつ、事業従事者の経験と目線も従来通り活かすというプライシングを行っている、ある企業について紹介したい。
その企業こそ株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。
ドン・キホーテやアピタなど、多彩な店舗を展開している大手企業である。
株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは現在、複数店舗においてAIを活用したプライシング。「価格ミル」と呼ばれる仕組みを導入し、話題となっている。
今日はこの「価格ミル」についての説明と、同社へのインタビューによって見えてきた「価格ミル」誕生の経緯などの話を紹介していきたい。
集約されたプライシングの成功事例の蓄積と、ドンキ独自の品揃えで実現できる「価格ミル」
筆者はあまりAIを用いた価格設定に関しての知識が豊富でないため、正直に書くと最初はAIを使ってのプライシングといわれても、なかなかそのイメージが掴めなかった。
が、これに関してはパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスに提供いただいた説明資料において、分かりやすい説明がなされていた。
ドン・キホーテなど、多数店舗における価格設定。
まずその成功事例を「価格ミル」に蓄積することで、適切な販売価格設定を各店舗に提示することが可能となる。
ドン・キホーテは商品展開も豊富で売り場に並ぶアイテムも様々だが、この蓄積された販売データが大いに役立つ。
プライシングの成功事例だけでなく、失敗した場合も検証ののち学習されるため、「価格ミル」の精度はデータが蓄積されればされるほど確度も高まる。
面白いのはここから。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスではAIの提案だけを鵜呑みにせず、従業員の経験も重視しているのだ。
「価格ミル」の運用とは、AIと従業員の勘と、経験と、値付けの際の度胸。この両輪を用いることで行っているのである。
つまり「価格ミル」を使って商品単位の適正価格の提示を受けた際、従業員はこの提示に準じて価格を決定するか、それとも値付けを変更するかを選択することができるのだ。
その結果、従業員の値付けが販売状況に良い結果をもたらせば、人がAIに勝ったということになる。
そしてこの勝敗の結果は当然「価格ミル」に蓄積され、ますます「価格ミル」自体の確度は高くなるのである。
AIを使って店舗における販売価格設定を効率的にアシストさせつつ、従業員はそのデータと過去の販売経験を踏まえて売価の変更を検討することが可能というのが、「価格ミル」の強みというのだから、これは面白い!
次項からは、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスのプライス&インベントリーコントロール部所属、「価格ミル」に関する責任者である長谷川さんへの「価格ミル」に関するインタビューの模様を紹介していく。