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長引くハリウッドのストライキは映画業界と我々にどんな影響を与えるのか?

2023.09.16

ハリウッドでは米脚本家組合(WGA)と米俳優組合(SAG-AFTRA)によるダブルストライキが続いています。同時ストライキは実に63年ぶりの出来事であり、現状は収束の兆しが見えないままです。

特に5月からストライキをはじめた米脚本家組合は、全米映画テレビ制作者協会(AMPTP)との長期間にわたる交渉が続いています。

両社の主な争点が、AIの活用とストリーミング番組の報酬です。

労働組合側は、AIが盗作や職の喪失につながる懸念を持っており、AIを脚本作成に関与させないように要求しています。

それに対して全米映画テレビ制作者協会は8月11日に交渉が再開された際、「生成AIによって生み出された作品は文学的著作物とみなされない。脚本家が生成AIが提供した素材を活用しても、脚本家の報酬やクレジットに不利益が及ぶことはありません」と提案しており、ハリウッドとAIの関わりがどのような着地点を見出せるのか、この交渉の結末が世界中のエンタテイメントの在り方そのものに影響する可能性が高く、注目が集まっています。

今回は、こうしたストライキと米国エンタメ企業の影響について考察していきます。

争点はさまざまな報酬の割合

2023年9月現在、脚本家と制作側が交渉しているAIによる脚本作成と配信番組の報酬に関する争点は依然として不透明なままです。

米脚本家組合側はAIの台頭に伴う懸念を抱き、AIが脚本作成に関与することに反対しています。

そこで、全米映画テレビ制作者協会は米脚本家組合に対してあらたな提案をしています。

たとえば、生成AIが書いた脚本を直すように制作側が依頼した場合は、脚本家は安価な書き直しだけの料金ではなく、脚本そのものを作った報酬を受け取ることができるようにすると同時に、どの部分がAIによって書かれたものなのか、その情報を脚本家に開示することとします。

こうした一連の交渉のなかで、さらに重要なポイントが浮上しました。

それは、視聴データの公開に関する問題です。

従来のテレビ番組では、再放送のたびに印税が得られましたが、ストリーミング配信企業は視聴回数などの詳細なデータを公開していないため、脚本家は作品の人気に応じた報酬を受け取ることが難しかったのです。

しかし、全米映画テレビ制作者協会は今後、各番組の視聴時間を四半期ごとに公開することを約束し、「透明性が向上し、組合はデータに基づく報酬を要求できる」と述べました。

交渉に参加する米国エンタメ企業

この交渉には、映画業界の大手企業である米ウォルト・ディズニーや米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、そして配信業界の巨大企業である米ネットフリックスや米アマゾン・ドット・コムなどが参加しています。

脚本家組合は1万人以上のメンバーから成り、3月から待遇改善に関する交渉が行われてきましたが、期限までに合意に達せず、5月2日に組合がストライキに突入しました。

しかし、8月11日から断続的な交渉が再開され、全米映画テレビ制作者協会が譲歩の兆しを見せたことで、業界内では合意に向けて楽観的な見方が広がりました。

ところが、8月22日夜に行われたボブ・アイガーCEO(ウォルト・ディズニー)やテッド・サランドス共同CEO(ネットフリックス)などの経営幹部と組合の協議は「合意を達成するためではなく、組合を屈服させるための会議だった(組合幹部)」と両者の意見は平行線のままだったようです。

その直後の23日未明、全米映画テレビ制作者協会は前述したような提案内容とコメントを公表しましたが、この公表は異例の措置といわれています。これは、俳優組合も7月からストライキに参加しており、ハリウッドでは新作の製作が完全に中断していることから、全米映画テレビ制作者協会は組合のメンバーに直接メッセージを伝える意図があったとされています。

全米映画テレビ制作者協会の交渉関係者は「脚本家との合意が得られない限り、俳優組合との交渉に進むことはできない」と述べ、交渉の厳しさが浮き彫りとなっています。

組合側と制作側との間には、まだまだ大きな障壁が残っているといえるでしょう。

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