「ゴルフR」の本領はスポーツモード!コーナリングでの安定性と楽しさには注目
エンジンをスタートさせる。ドライブモードはコンフォートを選択し、Dレンジにシフトする。320PS、420Nmのターボエンジンは、タイムラグもなく、スタートし、加速する。スポーツモードを選択すると1500回転からのレスポンスが違うことが体感できる。Dレンジでも十分に速い。試しに0→100km/h加速を計測してみると、5秒台を記録した。2Lターボはレッドゾーンの6500回転プラスまで上昇してシフトアップする。エンジン音は4000回転でもノイジーさは抑えられている。高回転域でもドライバーの疲労は少なそうだ。
一般道での100km/h巡航は7速1800回転、6速2200回転、5速で2900回転に達する。ハンドリングは、コンフォートモードでは直進性が強く、重め。乗り心地もやや硬めだが上下動があるので高速ではやや安定感に欠ける感じがした。「ゴルフR」の本領はスポーツモードだ。とくにコーナリングでの安定性と楽しさは、さすがR!という感じといったところか。
新たに採用された「Rパフォーマンストルクベクタリング」は、リアアクスルに配置された2つの多板クラッチが左右後輪のトルク配分をコントロール。後輪外側により多くのトルクを配分する。このトルク配分は瞬時に行なわれるので、タイトなS字カーブでも安定した走りが楽しめる。従来の4輪駆動、4モーションシステムよりも、思いどおりのコーナリングができる。強化されたブレーキも剛性感があり、応答性も向上していた。
さらに新型「ゴルフR」に搭載されたビークル・ダイナミクス・マネージャーは、Rパフォーマンス・トルクベクタリングと連動して、各輪に最適なトルク配分を行なってくれるので、安定、安心感があるのも、このシステムのおかげだ。
「ゴルフRバリアント」も基本的なメカニズムは「R」と同じ。走り出してからの動きも、うしろを振りかえらなければ、後部に大きな荷室を備えているワゴンだとは気がつかない。さらに、レースモードを選択すれば、アイドリングから、低く、迫力のあるエキゾースト音が耳に入ってくる。久々にホットなワゴンに出会ったという感じだ。
地球環境の保全がさけばれている欧州で、こういう掟破りのようなファミリーカーが発売されるのを容認する自動車メーカー幹部はやはりクルマ好き、走り好きなのだろう。「ゴルフR」の車両本体価格は639万8000円、「ヴァリアント」は652万5000円で販売されている。
■関連情報
https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/golfr.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博