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インボイス制度との関係は?消費税計算の業務負担を軽減できる「簡易課税制度」の適用条件

2023.09.14

事業者が消費税の計算をする際に利用できる、「簡易課税制度」をご存じだろうか。煩雑な消費税計算の業務負担を軽減できる簡易課税制度は、中小事業者にとって大きな助けとなるはずだ。

そこで本記事では、簡易課税制度の概要や適用条件をわかりやすく解説する。インボイス制度との関係も解説しているので、インボイス制度への対応を検討している方はぜひチェックしてほしい。

簡易課税制度とは 

簡易課税制度とは、事業者が消費税を納付する際の計算を簡素化することを目的とした制度だ。通常行われる計算方法(以下、原則課税)では各取引を詳細に記録する必要があるが、簡易課税ではみなし仕入率を使った計算を行う。

これによって、より簡単に納税額の算出ができるようになる。みなし仕入率は事業ごとに決められているため、自身が行っている取引がどの事業区分にあたるか判断したうえで計算を行おう。 

簡易課税の適用要件を満たしている事業者は、原則課税か簡易課税かのいずれかを選択できる。それぞれにメリットがあるため、自身が採用すべき方法を見定めてどちらを選択するのかを決定しよう。 

簡易課税制度の計算方法 

ここからは、簡易課税を適用するに際しての計算方法を紹介する。それぞれの計算式の最後が控除額にあたり、こちらが主な相違点となるため注意して確認してほしい。 

原則課税の計算方法 

納付する消費税額=売上に際して受け取る消費税額-仕入れ等に際して支払う消費税額 

簡易課税の計算方法 

納付する消費税額=売上に際して受け取る消費税額-(売上に際して受け取る消費税額×みなし仕入率) 

事業区分ごとのみなし仕入率 

先述の通り、簡易課税の計算を行う際には課税される売上高がどの事業区分に当てはまるか判断したうえで計算を行う。各事業区分とみなし仕入率は以下の通り。 

事業区分 

業種 

みなし仕入率 

1種事業  

卸売業 

90 

2種事業 

小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る) 

80 

3種事業 

農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業 

70 

 

 

4種事業 

1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業 

60 

5種事業 

運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く) 

50 

 

 

6種事業 

不動産業  

40 

簡易課税を適用する最大のメリットは制度の趣旨の通り、計算が簡潔になって事務負担が軽減される点にある。原則課税を採用した際の取引記録は大きな労力を必要とするため、この負担を軽減できる点は小規模事業者にとって大きなメリットと言えるだろう。 

また、簡易課税を採用することが節税につながる可能性がある点も、簡易課税を選択するメリット。原則課税では「仕入れ等に際して支払う消費税額」を控除することになる。この額よりもみなし仕入率を使って計算した控除額の方が大きくなる場合は、控除額が増えるため、納付する消費税額が少なくなる。 

簡易課税制度を適用するデメリット 

簡易課税を適用した結果、納付する消費税額が多くなるケースもあるので注意しよう。原則課税の場合は「仕入れ等に際して支払う消費税額」を参照するため、仕入れが増えたり、大きな設備投資をしたりする事業年度には控除額が大きくなる。 

しかし、簡易課税では控除額を「売上に際して受け取る消費税額×みなし仕入率」で計算するため、仕入れ等に際して支払う消費税は参照されない。

そのため、仕入れに際して支払う消費税が増えても控除額には反映されない。また、一度簡易課税を選択した場合、2年間は原則課税に変更できなくなる点にも注意が必要だ。 

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