実際の車内を見てみよう
今回私が乗車したのは中間地点のアリス・スプリングスから終点ダーウィンまでだが、まずはその様子を伝えよう。
出発したのは夜の18時15分。アリス・スプリングス駅にはいわゆるプラットフォームがなく、地面から乗り込む。
私が利用したのは2クラスあるうちの廉価版のほうのゴールドクラス。だがツインルームの一人利用だったため余裕の広さだ。
「座席」状態の個室はこんな感じ。居心地のよいソファー。窓際に小さなテーブル。右奥が「洗面所兼シャワールーム兼トイレ」で、右手前には小さなクローゼットがあってジャケットや荷物を収納できる。
このゴールドクラスのツインルーム以上では各部屋に「洗面所兼シャワールーム兼トイレ」が設置されている。同じゴールドクラスでもシングルルームになると各個室にあるのは「洗面台」のみで、トイレとシャワーは共用になる。
洗面台と便器をカーテンでカバーしながらシャワーするのがコツ。とはいえシャワールームの床は水浸しになる。
すぐに食堂車に移動してディナー。この日は最初のグループが18時半から、2つ目が19時半から、3つ目がなぜか20時から。いずれにせよ、何時からの食事かは決められているので混雑することはない。
日本の車両よりも幅広なため、食堂車のテーブルも特に狭いとは感じない。
ディナーは3コース。前菜とメインはいずれもシーフードと肉とベジタリアンが用意されていた。
ちなみにこれはこの日のディナーではなく、到着前の夕方のサパー(軽食)で選べたカレー。食事はどれもレストランレベルの本格的な味付けでおいしかった。
食べ終わった人はラウンジカーに移動して、飲み物片手に乗客同士で語り合う。
ラウンジでのドリンクもアルコールを含めすべて無料。それなりにいいワインそろっている。
各車両には客室乗務員が一人ずつつく。手分けをしてラウンジでバーテンダーをしたり、レストランで給仕役をしたり大忙しだ。
客室乗務員たちはすべてアデレード居住。往復乗車して週に70~80時間働いて、翌週は1週間丸々休むというシフト。車内に自分の部屋があり、夜間には別の警備スタッフが巡回している。
心地よい酔いとともに部屋に戻ると座席は収納され、ベッドメイクされていた。
ツインルームの一人使用だったが撮影用にと気を利かせてくれたのか、上段もベッドメイクされていた。
とはいえ起き上がるときに何度か天井に頭を打った。翌朝、別の乗客ともそんな話で盛り上がる。寝心地も最高とは言い難い。だがそれも寝台列車の旅。いや、それこそが寝台列車の旅だ。