今年6月、渋谷区内17カ所で進められてきた公共トイレ改修プロジェクト「THE TOKYO TOILET」が完了。公共トイレが屈指のクリエイター達の手により、個性豊かなトイレに生まれ変わった。
たとえば、その奇抜なデザインが世界でも話題になったのが、「はるのおがわコミュニティパークトイレ」と「代々木深町小公園トイレ」。
代々木深町小公園トイレ
画像:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000134.000025872.html
透明なガラスで覆われ、外から個室内が見えるデザインは建築家の坂茂氏が手がけたもの。鍵をかけることで不透明な曇りガラスになり、外から見えなくなる仕組みだ。
ちなみにこのトイレのガラス壁は昨年冬、気温の低下により不透明になるまでの時間を要する不具合が発生。
それを受け、今年5月中旬から10月中旬までは通常運用だが、10月中旬から来年5月中旬までは常時不透明の運用を行うとのこと。ただ、公共トイレとしての利用には問題ないと渋谷区が発表している。(10月以降はご注意あれ)
そもそも、公共トイレ改修プロジェクトは2018年に始まったもので、トイレは日本が世界に誇る「おもてなし」文化の象徴であり、もはやキレイは当たり前。さらなる魅力や付加価値を体感できる、見たことのないトイレを生み出そうとスタートした。
つまり、それほど「ニッポンのトイレ」は凄いのである。最先端の技術と世界が驚くアイデアにより、公共施設だけでなくデパートや飲食店までこだわりのトイレが密かに誕生しているのだ。
そこで今回は「用がなくても行きたくなる日本トイレ図鑑」と題し、豪華すぎる公共トイレから、日本一の●●トイレ、ユーザーに嬉しいトイレまで紹介。魅惑すぎるトイレの知られざる世界にハマってほしい。
48星座のトイレが煌めく豪華トイレがPAに!
愛知県刈谷市にある『刈谷ハイウェイオアシス』。2004年にオープンし、『天然温泉かきつばた』や『産直市場おあしすファーム』など魅力的スポットが揃ったパーキングエリアだ。
そのトイレが豪勢すぎる。オープン当初から注目を集めた「デラックストイレ」は、去年4月にリニューアルすると、非日常感に満ちた古代ヨーロッパスタイルのトイレに変貌。
しかも、48ある個室にはトレミー48星座の物語を散りばめたという。PAのトイレがなぜここまで本気を出したのか?「刈谷ハイウェイオアシス株式会社」施設管理課の加古さんに話を聞いた。
–写真でも圧倒的!なぜここまでこだわったのでしょうか?
「去年のリニューアルでは、さらに贅を極める「個性ある個室空間」を新たなキーワードにアップグレードを行いました。一つ一つの個室すべてを異なった空間にしつらえることで、新しい快適性と物語を持った多様性あふれる公衆トイレを生み出したいと思ったんです」
–48星座をモチーフにした理由は?
「トイレ利用の一連の流れの中に、「選択ができる」「思わぬ遭遇がある」など楽しい体験ができるエンターテイメントの場所へと変えようと考えました。設計事務所の方から聞いた話ですと、トイレを使用する度に楽しめるよう、個室別でグラフィックシートのデザインが違います。扉には星座の能書きや占いまで記載されており、次に来たときは違う個室を使って楽しんでいただきたいという思いから星座を散りばめることとなりました」
「12星座の個室にはグラフィックシートの中には隠れミッキーのように星座が隠れているので、隠れた星座を探す楽しさもあります」
–外観は古代ヨーロッパスタイルですね
「美術館のようなトイレというコンセプトから古代ヨーロッパスタイルにチェンジしたと設計事務所から聞いております。エントランスに入るとウェルカムアートが迎え入れ、女性エリアにはトレビの泉のような噴水も。外観はコロッセオを彷彿とさせるアート状の庇となっています」
こだわりは見た目だけではない。機能性も抜群すぎる。是非体感したいのが「空中浮遊トイレリモコン」。ボタンに触らずに使用できる最新装備だ。これは一度試してみたい。
他のPAとは一線を画す『刈谷ハイウェイオアシス』。去年のリニューアルを含め総工費は6億円。中でも新しい発見や楽しみ方ができるトイレは、これからもさらに進化するのだろうか?
「今回のリニューアルも時代の変化に合わせたトイレ設計となっており、以前は女性トイレにしかなかったオムツ替えコーナーを共用エリアに配置し、男性でもオムツ替えができるようにしております。また、男性トイレの手洗いエリアには化粧直しにも使える鏡と台を設置しています。デラックストイレという施設は当施設の目玉であり、日本で一番を目指しているトイレです。綺麗が当たり前になっている時代ですので、今後も利用者に驚きと時代に合った機能性を感じていただけるよう進化させていきたいと思っています」