日本全国に展開する総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の業績が好調だ。今年8月16日に発表した2023年6月期の売上高は、前年比5・8%増の1兆9367億円、営業利益は1052億円(前年比18.7%増)といずれも前年に比べ大きく上回っている。
外国人観光客によるインバウンド需要が再燃の兆しを見せる中、同社は2023年6月期の売上高はさらに伸ばし、初の2兆円台を超える見通しだという。
ドン・キホーテといえば、カタカナで書かれたドン・キホーテの黄色い文字と、“驚安の殿堂”のキャッチフレーズ、そして青いペンギンのキャラクターが書かれた外観が特徴的だ。9月8日は、この青いペンギンこと「ドンペン」の誕生日ということで、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス広報室の取材をもとに、ビジネスにも役立つかもしれないドンペンのエピソードをいくつか紹介したい。
ドンペンにまつわる3つのエピソード
ドンペンはペンギンのオスで身長・体重・スリーサイズはすべて98cm(kg)
1.ドンペンは海外にも進出している
ドンペンは1998年に従業員のイラストから誕生した。誕生から25年。今では「ドン・キホーテ」のマスコットとして店舗の看板サインやPOPだけでなく、コラボ商品やイベント出演など幅広く露出し活躍するドン・キホーテの顔になっている。
日本だけでなく、ハワイ、シンガポール、タイ、香港、台湾、マレーシア、マカオなど海外にも展開するドン・キホーテ(ハワイでは「ドン・キホーテUSA」、アジア地域では「DON DON DONKI」として展開している)であるが、ドンペンも同じく海外店舗でも採用されており、海外でも「DONPEN」として愛されている。
そのため、日本に来た外国人観光客からは店舗看板の「ドン・キホーテ」の文字は読めなくても、ドンペンのアイコンでドン・キホーテと認識してもらえるという。
インバウンド増加に合わせて好調なドン・キホーテの業績の裏側には、こうしたドンペンの少なくない貢献があるのだ。
海外でもドンペンは愛されている
2.Z世代の「ドンペンブーム」に公式も期待
ドンペンはドン・キホーテの看板だけでなく、ドンキコラボの商品開発にパッケージに使われている。
しかし、それだけでなく、近年、Z世代を中心に「ドンペンブーム」が起こっており、ドンペンが大きくプリントされたTシャツやカバン、ドンペンの巨大ぬいぐるみといったドンペングッズ自体も一定数の需要が生まれている。
さらに直近では、サンリオのキャラクターたちとコラボをし、ドンペンがキティちゃんと肩を並べることもあった。企業マスコットがこれほどまでに躍進するケースは珍しく、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスとしては、今後キャラクターIPビジネスとしてドンペンというキャラクターを売り出していけるのではと期待を寄せている。
3.ドンペンの引退危機!?
昨年12月、ドン・キホーテの公式Twitter(現・X)アカウント(@donki_donki)より、突如としてドンペンが公式キャラクターから交代させられることが発表された。
<【大切なお知らせ】ドンキのオリジナルブランド「情熱価格」を皆様に知ってもらいたいという真摯な想いから、この度ドンキ公式キャラクターを「ドンペン」から「ド情ちゃん」に交代する事が決定いたしました。今後ともド情ちゃんを宜しくお願い致します。>
しかし、上記投稿からわずか半日、公式キャラクターの交代は撤回された。公式は<私たちが考えている以上にお客様の「ドンペン」の想いを再確認できました>と、ドンペンのファンからの反響が予想以上に大きかったことを理由に挙げている。
公式のプロモーションがわずか数時間で撤回されることは非常に珍しく、「当初から交代の予定はなかったのでは」と邪推する声もあったほどである。
この騒動について、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス広報室に特別にコメントを求めたところ「本件に関しては回答を差し控えさせていただきたく存じます」との回答であった。
この件について、これまでに公式は詳細の説明はしておらず、真相は依然として明かされていない。
2023年9月8日から「ドンペン生誕祭」が開催!
2021年から毎年行われている『ドンペン生誕祭』が今年も行なわれる。2023年の生誕祭はドンペンのサイン会から新商品の販売、限定グッズの抽選応募キャンペーンなど盛りだくさんの内容になっている。
2023年「#ドンペン生誕祭」(2023年9月8日~30日)のコンテンツは以下の通り
1.書籍『ドン・キホーテ公式 ドンペンとドンコの激ムズをこえた驚ムズまちがいさがし』発売記念ドンペンサイン会
2.majicaアプリ会員限定「#ドンペン生誕祭2023限定キラキラシール」プレゼントキャンペーンを実施
3.『ドンペンファンと創る』ドンペンサミットから生まれた、ドンペングッズ新商品を発表
4.サンリオキャラクター大賞2023パートナー部門第1位『ドンペン×はぴだんぶい』グッズ販売開始
5.公式SNSで、ドンペングッズがもらえるプレゼントキャンペーンを実施
※「#ドンペン生誕祭」や各種イベント・キャンペーンについて詳しく特設サイトを参照
今後、ますます存在感が増していくであろうドン・キホーテであるが、公式キャラクター「ドンペン」も合わせてその動向に注目していきたい。
取材・文/峯 亮佑