アカミミガメとアメリカザリガニは今年6月から「条件付特定外来生物」に指定された。販売、頒布、購入が規制され、放出すると法律違反になる。うちで飼っているカメちゃんはどうなる?子どもがもらってきたザリガニは法律違反?ひびき動物病院院長岡田響先生に、わかりやすく解説してもらおう。
規定対象になったアカミミガメとアメリカザリガニ
――最初に規定対象となったアカミミガメとアメリカザリガニについて教えてください。
岡田先生 まずは、アカミミガメとアメリカザリガニについてですが、比較的身近なミドリガメがアカミミガメの幼体です。生まれてから1年目は3センチ程度の大きさですが、成長すると20センチ以上になります。人の飼育下にあると、40年以上も長生きする子もいるそうです。
アメリカザリガニは、「子どもが屋外でザリガニ取りをして捕まえた赤いザリガニ」、というイメージがぴったりなザリガニです。
私もあまり意識したことがありませんでしたが、両者ともに、明治以降に人間の活動に伴って、海外から日本に入ってきている経緯がある、もともと日本には居なかった、「外来種」なんです。
その「外来種」の中でも、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものは、「特定外来生物」という指定がなされています。
「特定外来生物」による生態系、人の生命・身体、農林水産業に係る被害の防止の目的のために、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」という別名:「外来生物法」がありますが、令和5年6月から、アカミミガメとアメリカザリガニが、こちらの法律で規制対象となりました。
規定された理由と背景
岡田先生 環境省の資料によると、アカミミガメ(ミドリガメ)は、都市部を中心とした水辺環境に蔓延し、極めて身近な生物となっている一方で、自然度の高い地域にも侵入し、地域の生態系に影響を与えています。
アカミミガメは安価であったために、国内で大量に流通し、飼育しきれなくなった個体が捨てられたり逃げたりして野生化が進んだようです。雑食性で、魚類、両生類、昆虫、水生植物、花、藻、果実など、様々な生態系に影響を及ぼしています。
アメリカザリガニは、ヒトの食料として繁殖されていたウシガエルの餌として、1927年に鎌倉に輸入されました。ウシガエルの養殖場付近から逃げ出したものから、現代では屋外で採集されたり、ペットショップで売られたものなどが捨てられたりしたものが野外で繁殖し、拡散要因となっているようです。
アメリカザリガニは、水生植物が激減するほどの食害を起こしています。その影響などで、そこに住む水生昆虫や魚類、両生類なども激減している地域があり、生態系が崩れた結果、水質の悪化、蚊の個体数増加などの被害や、農作物の不作に繋がる被害もあるそうです。
つまり、ミドリガメやザリガニが、日本の生態系を荒らしてしまっているので、これ以上生体の数が増え続けないように、法律で規制しないといけない状況にある、ということです。