将棋AIソフトだと「角換わり」は先手必勝?
実はいま、「角換わりは終わった」と将棋ファンの間で話題になっている。ことの発端は、プロ棋士にも勝利したことのある将棋ソフトであるやねうら王の公式アカウントが今年5月にTwitter(現・X)に投稿した一つのツイートだ。
〈角交換と言う戦型が終わった。1886局面の指し手を覚えるだけで先手側は公開されてる水匠(探索局面数は1億までの任意)に対して評価値+300に出来ることが証明された。大会で上位のソフトは+300から逆転は97%ぐらいありえないので(手数で引分はある)つまりは将棋AIの世界では角交換の後手は必敗。〉
この投稿は広く拡散され「角換わりは先手必勝」、つまり角換わりは終わったと話題になったのだ。この解釈は少し拡大解釈がされており、正確には間違っている。上記ツイートは、ある特定の前提の条件下における将棋AIソフト同士の角換わりでの対局は、先手が負けなしだったという旨であり、あらゆる局面において先手番の角換わりが負けなしということではない。
事実、王座戦第1局では、先手番で角換わりを指した藤井竜王・名人は永瀬王座に敗北している。ただ、最新将棋ソフトの特定の条件下とはいえ、角換わりが先手番に大きく有利であると結論を出したことは、今後の棋士たちの対局にどのような影響を与えるかについては注目したい。
9月12日に行なわれる王座戦第2局では、藤井竜王・名人は後手番となる。先手番の永瀬王座が角換わりの展開に進めた際、藤井竜王・名人は角換わりを応じるのか、それとも他の戦型へと誘導するのかという点も大きな注目ポイントとなるだろう。
勝敗という結果だけでなく、二人がどういった将棋を指すのか。ぜひともその過程にも目を向けてみてほしい。
取材・文/峯 亮佑