真面目で夜遅くまで仕事を頑張っている部下。もちろんそれ自体は素晴らしいことですが、なぜそこまで働きすぎてしまうのでしょうか。もしかしたらこれは管理職の「声掛け」に問題があるのかもしれません。そこで今回は、働きすぎ社員のモチベーションを下げずに、効率よく仕事に取り組ませるマネジメント方法についてお話します。
①どのような「声掛け」をしているでしょうか?
中間管理職になれば、部下を労うなど声をかけることが重要と工夫されているのではないでしょうか。
特に新任の際は、部下とのコミュニケーションを大切に考え自ら声掛けしていく人は多いでしょう。今日も数多く「声掛け」をしたと満足しているかもしれません。
例えば、「今日も頑張っているね」「遅くまで偉いね」「○○さんのおかげで…」等の「声掛け」をすることをしているかもしれません。
これらの言葉を部下はどのように考えるでしょうか。頑張りを評価してもらえると考え、夜遅くまで頑張る姿を見せる人も出てきます。
実際に仕事が多く、部下のキャパを超えていれば問題ですが、他の社員が仕事を終え帰っている中、遅くまで仕事をしていることは褒められるでしょうか。労働時間の問題がニュースになる時代です。労働環境をコントロールすることも会社に求められます。管理職の仕事として労務問題はつきものです。残業時間をコントロールする立場の管理職の言葉が、「働きすぎ」を作り出している可能性があります。
残業が少ない部署の管理職は、どのようにコントロールしているでしょうか。
おそらく時間内に仕事を終わらせるように指示し、出来なければ翌日に等指示をすることで管理しているでしょう。
つまり、「働きすぎ社員」がいる部署では「働きすぎ」を管理職が許している可能性が高いと言うことです。頑張って働いている社員に対して「がんばっているね」は言いたくなります。しかし、言われた方は評価してもらえていると感じ、ますますがんばる姿を見せようとすると言うことです。
がんばることで結果が出ていればいいのですが、結果が出ていなければ、管理職としての評価も下がってしまいます。結果を出すだけでなく労務管理もより厳しく求められる時代ですので、「声掛け」は気をつけていく必要があります。
②会社風土はどのようになっているでしょうか?
「声掛け」の仕方でも部下の行動は変わると言う話でした。もう少し大枠で考えてみます。
「働きすぎ社員」の数は多いでしょうか。
多い場合は、ルールが曖昧になっていて、自己判断しやすい環境になっていると思われます。
私たち識学では、まず「ルール」はありますかと、よく聞きます。少ないですと回答する会社では時間管理ができていない会社が多いです。
「ルール」と言うと息苦しさを感じる方も多いでしょう。「ルール」がないと、自分のルール(経験と知識から考える何が正しいかの基準)で行動します。縛るものがなければ自分の考える通りにできるため楽しいでしょう。
しかし、仕事においては限りある時間の中で、お客さまや会社の求める成果を出すことが大切です。自分ルールで仕事をすることは本来できないです。なので、様々なルールが世の中や会社に存在します。
会社の風土が「ルールが少なく自由」であるほど、自分で決めて良いとなります。
自分で決めることが悪いわけではありません。もちろん仕事において責任ある部分は決めなければなりません。決めていいことと決めてはいけないことがあると言うことです。
では、「働きすぎ」つまり「残業なども自分で決められる」と会社ルールがそうなっていないでしょうか。これは残業を自分で判断できると言うことです。会社では規則があって残業は上長許可が必要となっていても、勝手に残業している部下もいるかもしれません。自己判断している部下を管理職が許していると言うことです。
また、それが1人ではなく多くの人が勝手な判断をしている状況は、「ルールが意識上でなくなっており、自己判断できる」と誤解している環境を管理職がつくっていると考える必要があります。
上司の「声掛け」が、会社ルールを守らなくていいよと言うメッセージになっていたり、会社風土としてルールを守らないことが許される環境になっていたりが考えられます。
現状は、どのようになっているでしょうか。
守ることが許されている状況であれば、今一度、会社の就業規則を確認のもと管理職が何をすべきかを会社で意思統一する必要があるかもしれません。