空売りのデメリット
空売りの仕組みはシンプルで、現物取引よりも利益を出しやすく、メリットが多いと感じている人もいるかもしれません。しかし、実際にはデメリットもあるため、きちんと把握した上で判断する必要があります。どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
ハイリスク
空売りのデメリットは、ハイリスクである点です。予想に反して相場が上昇した場合、上昇した分だけ損失も大きくなります。
下落の場合は0円以下には下がらず限度がありますが、上昇には限度がありません。例えば、50万円だった株価が下がっても、0円以下になることはないため、50万円の損失で済みます。
一方、500万円に上昇した場合は、マイナス450万円と大きな損失です。いつか株価が下がるだろうと待ち続けると、最終的に莫大な損失を出してしまうリスクがあるため、注意しましょう。
そのほかにも、一定の損失が出た際、追加で保証金を差し入れる『追証(おいしょう、追加保証金の略)』が発生するリスクもあります。支払いが不可能な場合は強制的に決済が行われ、取引ができなくなるケースも珍しくありません。
売買手数料以外にもコストがかかる
株式を売買する際にかかる売買手数料以外にも、さまざまなコストがかかります。例えば、証券会社から株式を借りる費用として『貸株料』がかかります。
貸借される株式が不足すると発生する『品貸料(逆日歩:ぎゃくひぶ)』も、支払う必要のある費用の一部です。前述した通り、一定の損失が出た場合は『追証』も発生します。
このようにさまざまなコストが発生するため、空売りの取引が長引けば長引くほどコストもかさみます。利益よりもコストが上回ってしまう可能性もあるという点を覚えておきましょう。
空売りのやり方とポイント
メリットとデメリットを把握した上で、実際に空売りをやってみたいと思っている人もいるのではないでしょうか。空売りの具体的なやり方を、順を追って紹介します。注意点など大切なポイントについても確認し、実際に始める際の参考にしましょう。
信用取引口座を開設する
空売りを行うには、証券会社に総合口座を開設後、『信用取引口座』を開設する必要があります。証券会社は数多くあり、それぞれ手数料などが異なるため、比較して検討するのがおすすめです。実際に空売りをしている人や詳しい人が身近にいる場合は、アドバイスをもらうのもよいでしょう。
なお、申し込みをすれば、誰でも口座開設ができるというわけではありません。信用取引は現物取引よりもハイリスクであるため、口座開設にあたって基準が設けられていたり、審査が行われたりするケースが多いのです。一般的には、保有する金融資産や投資経験などが判断基準とされます。
取引を始めるには証拠金(保証金)が必要
信用取引を行うには、証券会社が定める証拠金率に見合った証拠金(保証金)を、担保として入金する必要があります。現金だけでなく、投資信託や株式など有価証券で代用することも可能です。
実際の証拠金や証拠金率は証券会社によって異なりますが、最低証拠金は30万円以上で、証拠金率は30%以上とされています。
取引可能額は、証拠金の額により決まります。例えば、証拠金率30%で30万円を証拠金として入金した場合は、最大で100万円(30万円÷30%)の取引が可能です。
銘柄を選び注文する
開設した口座に証拠金を入金したら、取引したい銘柄を選び注文しましょう。銘柄を選ぶ際には、株価のトレンドに注目することが大切です。トレンドとは、上昇・下落・横ばいといった株価の動きのことです。
空売りの場合は、チャートのトレンドラインなどの動きから、下落が予測される銘柄を選びます。初心者でどれを選べばよいのか分からない場合は、日経平均株価の構成銘柄から選ぶのがおすすめです。東京証券取引所一部上場の銘柄なので、選びやすいでしょう。
また、空売りはハイリスクであるため、特に初心者の場合は少額の取引から始めることも大切なポイントです。
返済期日までに反対売買を行う
信用取引の種類によって返済期日は異なるものの、期日までに反対売買、もしくは現引・現渡しにより証券会社に返済する必要があります。
空売りの場合の反対売買とは、売った株式を買い戻すことを指します。現引と現渡しは、どちらも信用取引の決済方法です。現引は買い付けた代金で株式を受け取ることで、現渡しは同銘柄・同株数の株式と引き換えに約定代金を受け取ることです。
なお、返済期日が来ると強制的に決済が行われるため、期日を意識しながら株価の動きを見極める必要があります。また、手数料などを支払う必要があるため、空売りで発生した差額がそのまま利益もしくは損失になるわけではない点も覚えておきましょう。
構成/編集部