連載/山田美保子のデキる接客に学ぶ人心掌握術
「氷をお付けしますか?」
『JR東海』が2023年10月31日に東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」での車内ワゴン販売を終了することを御存知の方は多いと思う。
・周辺店舗の品揃えの充実
・飲食の車内への持ち込み増加により売上が大幅に減少したことに加え、
・静かな車内環境を求める意見があった
・将来発生する可能性がある労働力不足への対応
などが終了の理由であるという。
「それは困る」と思ったワケ
この12年間、メ~テレ(名古屋テレビ放送)の朝ワイド『ドデスカ!』や夕方ワイド『アップ!』出演のため、東京―名古屋間を月に6~7往復していた私は、乗車すれば必ず車内ワゴン販売を利用していたものだ。
約1時間30分ほどの道中で買うのは、ペットボトルの水や緑茶、「おむすび弁当」「ミックスサンド」、そして“シンカンセンカタイアイス”こと『スジャータ(めいらくグループ)』のアイスクリームなど。往路はウイスキー派ゆえ、『サントリー』「山崎」のミニボトル、缶入りの「角ハイボール」などを必ず注文した。とにかく度々利用していたので「終了」というリリースには、まず「それは困る」と思ったくちである。
前記の終了理由の一つ、“周辺店舗の品揃え”でいちばんに思いつくのは『大丸東京店』の“デパ地下”だ。同フロアには、出店直後から「極味(きわみ)弁当」(1万1000円)が話題となった『ミート矢澤』や、舞台俳優御用達でもある『日本橋 弁松総本店』から、テレビ局がよく利用することでも知られる『おこわ米八』、『とんかつ まい泉』。さらにはデパ地下総菜の定番『柿安ダイニング』や『RF1』まで、確かに“充実”している。
ただ、ここに立ち寄る“余裕”があるのは主に旅行客ではないのか。出張族の場合は少ない移動時間と経費の中、東京駅構内で駅弁や飲み物を購入する人が大半だと見受ける。なのにホーム上の売店はコロナ禍にその多くが閉店してしまった。その結果、仕方なく、車内ワゴン販売に頼る私のような客も少なくなかったと思うのだ。
次に売上の大幅減少の理由についてである。それは本当に「周辺店舗の品揃えの充実」と「飲食の車内販売への持ち込み増加」だけなのだろうか。