「フキハラ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは「不機嫌ハラスメント」の略で、たくさんある「〇〇ハラ」の1つとして認識されています。
今回は、不機嫌ハラスメントについての解説や、実際にどのようなものが不機嫌ハラスメントに該当するのか、そして不機嫌を表に出す人の心理と対処法について解説していきます。
不機嫌ハラスメントとは
不機嫌ハラスメントとは、不機嫌な態度をとることで周囲に不快な思いをさせたり、気を遣い過ぎるなど、精神的な苦痛を与えることを指します。不機嫌ハラスメントは、本人が不機嫌な自分を認識している場合と、無意識にしてしまっている場合があります。
不機嫌ハラスメントの注意したいところは、周囲に伝染しやすいということです。人間はポジティブな感情よりも、不機嫌やイライラなどのネガティブな情報に敏感です。例えると、「あの人楽しそうに仕事をしているな」と感じても「私も同じくらい楽しくしなくっちゃ」と思う人もいるものの、なかなか広まってはいきません。逆に、「あの人イライラしているな」と感じてしまうと、「私何かしてしまったのかな?」という気遣いが発生したり、「あの人なんなの?」という怒りを覚えたりとさまざまな感情が続きます。
そんな不機嫌というネガティブな感情をあらわにする人が1人でも職場いると、仕事に支障をきたす場合もあるのです。
不機嫌ハラスメントとはどんな行動が該当するのか
次に職場で起こりがちな不機嫌ハラスメントに該当する行動を見ていきましょう。
まず、職場に限ったものではありませんが、
・挨拶をしない
・話しかけられているのに返事をしない、聞こえないふりをする
・ネガティブな発言や文句を繰り返し伝えてくる
などが該当します。
さらに、
・タイピング音がうるさくなる
・足音やドアを閉めるなどの行動音が大きくなる
などの不特定多数に向けられている行動も不機嫌ハラスメントに該当します。
ここで注意してもらいたいのは、イライラしてしまったり、不機嫌になることは誰にでもあることだということ。不機嫌になってしまうことが一概に悪いことではないのです。
何があっても常に機嫌よく過ごすべきという考えでは心は疲れてしまいます。不機嫌さをオープンにする場所、相手が問題であることを覚えておいてください。
不機嫌さを表に出す人の心理3選
不機嫌ハラスメントをしてしまう人の心の内はどのような状態なのでしょうか。ここでは3つの心理をご紹介します。
1.自分の感情や気持ちを言葉で表せない
まず考えられるのが、不機嫌な感情を持っていることをうまく言葉で伝えられないということです。今自分が感じている気持ちを言語化することはストレスの緩和につながります。
不機嫌ハラスメントをしてしまう人は、感情の言語化がうまくできないゆえに態度によって感情を表している状態なのです。
2.不機嫌さを出せる相手がいる
1.とは少し違いますが、不機嫌さを出してもその人は離れていかないなどという安心できる相手がいることも、不機嫌さを表に出す人の心理の1つです。
プライベートでは親しいなどの心理的な距離が近い人がその相手になることが多いですが、職場などというさまざまな人がいる場所では、立場が弱い者に対してなど、不機嫌さを出しても関係性が変わらない相手を対象にしてしまう場合があります。このタイプの人は自分の不機嫌さを認識していない場合も多くあります。
3.かまってもらいたい
こちらは自分の不機嫌さを認識している場合がほとんどです。不機嫌さは相手の気を引きたい、かまってもらいたい、気遣ってもらいたいという表現方法が不機嫌さのアピールなのです。
職場では「成果を正当に評価されていない」「業務内容がキャパオーバー」というストレス過多な状態を周囲に気づいてもらいたいために不機嫌さをアピールする場合もあります。
不機嫌ハラスメントが起こったときの3つの対処法
最後に、社内に不機嫌ハラスメントをしている人がいる場合の対処法について解説します。
1.少しの間、その人と距離を置く
対処法としておすすめなのが、不機嫌ハラスメントをしている人に近づかないことです。しかし、職場では完全に距離を置くことはできませんよね。ここでの距離を置くとは、プライベートなどの会話はせずに、業務連絡のみに徹すること、つまり心理的な距離を置くことを指します。
心理のところで取り上げた通り、不機嫌さを隠さない人には、かまってほしい、気づいてほしい、ここなら受け入れてもらえる、という思いがあります。これは、その思いを裏切る行動となります。効果がない、さらにはマイナスになるとわかれば不機嫌ハラスメントは軽減されます。
2.本人に話を聞く
これは心理の1.の相手に効果的な方法です。不機嫌な態度の裏には、それを言語化できない不安や焦りが隠れているので、その言葉を引き出すように本人の話を聞いてあげてください。
話を聞くときには、相手の不機嫌さを指摘するのではなく、相手に寄り添いながら気持ちを聞いてみるといいでしょう。
3.気持ちをリセットできるものをつくる
冒頭で触れたように、人はポジティブな感情よりもネガティブな感情のほうへ強く引っ張られます。不機嫌ハラスメントを受けたことであなたも不機嫌になってしまっては、余計に仕事に支障をきたす可能性もあります。
ネガティブな感情に引っ張られないために、自分の好きなものを理解して、すぐに目に入る場所に置いておきましょう。例を出すとすれば、デスクに子どもやペットの写真を置いたり、すぐに確認できる場所にしまっておくなどです。これはストレスコントロールとして有効な方法で、ネガティブな気持ちを解放する効果が期待できます。
文・構成/藤野綾子