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スマホの割引上限が4万円に引き上げ、ユーザーにとってそれは得なのか?

2023.09.03

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、端末の割引上限が4万円に引き上げられる可能性について会議します。

ハイスペック端末が買いやすくなりメーカーにもメリット

房野氏:総務省から「競争ルールの検証に関する報告書 2023」(案)が公表され、様々な見直しが提言されている中、端末の割引上限が4万円になりそうだと注目されています。

石川氏:いわゆる「転売ヤー」とか「1円端末」が悪いという話にすり替えられていますけど、割引が4万円になったところで1円端末はなくならないと思うので、意味がないことをしているなと。

石野氏:まぁ、でも、これでようやく無理やり2万円でしょぼしょぼのスペックの端末におサイフケータイを載せなくてもよくなったなと(笑)

石川氏:シャープの通信事業本部 小林繁本部長が、「端末の割引が増えることによって、スペックの高い、高性能な端末を買えるようになるという方向性と、2万円の端末をみんな買って使ってくれるんだから、2万円割引でいいじゃないかとされる悲観的な見方もある」と言っていた。どっちに転がるかっていうところ。モバイル業界的にはやっぱり良い端末を使ってもらって、ARPUが上がる方向性に行けばいいなという感じ。

石野氏:小林さんにはちょっと悪いですけど、「AQUOS wish」を使っているとストレスがちょっと溜まる。前のモデルより良くなってはいるんですけど、やっぱり2万円の端末って2万円の満足度なのかなっていう感じがするんですよね。そういう中で、ちょっと遅かったとはいえ割引が4万円に拡大したのは、悪いことではないと思うんですけど。

AQUOS wish

法林氏:4万円に拡大「するかも」、だよね。

石川氏:割引上限が2万円になったからFCNTが破綻したようなものじゃないですか。あのせいで「arrows We」を作らざるを得なくなって、たくさん売れたはいいものの、円安基調になってエラいことになった。総務省の施策によってメーカーが撤退していくことを繰り返しているなと。誰のための施策だったのか、総務省はしっかり反省すべきじゃないかと思います。

arrows We

石野氏:FCNTに関しては、2万円台の端末を作らざるを得なかったけど、2万円の端末をこんなに作って、売って、円安で原価が上がりすぎちゃいましたというのは、経営としてそれはどうなんだって思うところはあります。まぁ、でも割引が4万円になることで、そういう悲劇も少しは解消されるかなという気はしています。4万円の原資があれば、「motorola edge 40」とかも2、3万円になるわけじゃないですか。それを24回払いにすると、月々、ほぼ負担がないくらいの値段まで落ちてくる。このくらい割引があると、ハイエンド近めのミッドレンジも買えますし、落としどころとしてはそんなに悪くないかなという金額ですね。

 でも、もともとドコモは3万円の割引を主張していたので、元々こうしていたら、もうちょっとまともだったんじゃないのかっていう気もするんですよね。

motorola edge 40

石川氏:やっぱり結局、端末と通信契約は紐付いているものだった、完全分離って何だったんだって気がする。

法林氏:何の意味もなかったね。

石川氏:幻想でしかなかった。

法林氏:端末の価格を回線と完全に分離することでコントロールしようっていう考え方自体がやっぱり……さかのぼっていくとMNPもそうなんだけど、MNPの手続きを移行先のみで完了できるようにすることなんて最初からやるべきだったと思うし。総務省がやっていることは中途半端なものばかりになってしまった。メーカーが少なくなった今の状況もそうだし、特定の端末だけ割り引くみたいな仕組みがかつてあったわけで、あれはいち早く総務省が手を打つべきだったと思うし。結局、総務省の料金サービス課の人たちは何をしたいのか。キャリアをコントロールしたいのか、料金を下げさせたいのか、それがわかっていない感じが僕はする。

石野氏:総理大臣が変わるたびに目標自体が変わってしまうことがあるので可哀想というか(笑) 官僚は手足として働かなきゃいけないということを考えると、急に「4割値下げする余地がある」と言われれば「じゃあ下げる方向で」となってしまう。かといって、今の総理大臣に変わったら「デジタル田園都市国家構想」と言いだして、とにかく5Gエリアを作れ、みたいなことになってしまう。値下げさせた後にそれですか、みたいな話になっちゃうじゃないですか。

法林氏:今回、割引が4万円になる話が出てきたけど、たとえば、仮に「これからスマホは全部折りたたみです、20万円です」となった時に、割引価格をどう見直すの? みたいな話になっちゃう。今のドコモ方式の算出方法が必ずしも正しいと僕は思わない。

 役所のやるべきことは原則を作ること。例えば「毎年必ず基本使用料を10%下げてください」でもいいと思う。その代わり「端末は自由に売ってください。ただし、割引は特定の端末だけ割り引くんじゃなくて、定率で割り引きますよ」とかだったらまだいいけど。

 通販とかで「市場最安値!」とか言っているけど、いまだかつて割引前の正規価格で売ったことがないってことがよくあるじゃないですか。あれと同じことになっちゃう。もうちょっと違うルールを、頭を使って作らないといけないと思う。

石野氏:総務省はちょっと真面目すぎるんですよね。細かいですよね。

石川氏:細かいがゆえに誰もルールを守れていない。ソフトバンクが規制の上限を超える割引をして行政指導があったけれど、それ、ルールがしっかりしてないからでしょっていう部分もあるし、それで行政指導ってキャリアも不幸だなって感じもする。だったらいっそ、端末販売に関してはルールがない方が自由に競争できていいんじゃないか。

 2年縛りをやめなさいとかMNPをワンストップにしなさいとか、そういうユーザーが動きやすくする施策を総務省はすべきで、端末販売に口出すのは間違っているんじゃないかなって気がする。

法林氏:本来は月額料金を下げさせることが目的。端末割引につぎ込むお金があるんだったら料金を下げなさいよっていう話が本来のスタート地点。そこでちゃんと原則が作れてない状態で、端末の販売だけ手を入れても意味がないと思うんですよ。あと僕が願うことは、iPhoneだけ値引くことは禁止。国内だけでなく、海外も含め、もっとも転売された実績があるので、iPhoneだけは値引き禁止(笑)

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