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児童手当の拡充、扶養控除の廃止によって可処分所得が増える人と減る人

2023.09.06

2. 扶養控除が廃止されるとどうなる?

具体的な政策案はまだ公表されていませんが、仮に扶養控除が全部廃止された場合、高校生年代以上の子どもを育てる人にとっては増税となります。

扶養控除は、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の親族を扶養している人が受けられる所得控除です。扶養親族が16歳から18歳であれば38万円(住民税は33万円)、19歳から22歳であれば63万円(住民税は45万円)の所得控除を受けられます。

扶養控除の廃止によって、実際に増える税額は、以下の式によって求められます。

増える税額=廃止される控除額×税率

以下の表は、夫が妻(配偶者)と高校生の子どもを扶養する3人家族の場合に、扶養控除の廃止によって減少する可処分所得を試算したものです。

年収

所得税

住民税

年収400万円

19000円増加

33000円増加

年収600万円

38000円増加

33000円増加

年収800万円

76000円増加

33000円増加

年収1000万円

76000円増加

33000円増加

年収1200万円

87000円増加

33000円増加

3. 児童手当の拡充と扶養控除の廃止、両方実現したらどうなる?

児童手当の拡充が実現すれば、0歳から高校生年代までの子どもを育てる世帯が増収となります。

その一方で、扶養控除の廃止が実現すれば、高校生年代以上の子どもを育てる世帯は増税(=可処分所得の減少)となります。

各年代の子どもを育てる世帯において、年間の可処分所得の増減額の目安は以下のとおりです。実際の増減額は所得や控除の状況によって異なる点、および実際の制度変更の有無・内容は未定である点にご留意ください。

<中学生の子どもが1人の場合>

年収

児童手当による増収

扶養控除の廃止による増税(減収)

合計

年収400万円

±0

年収600万円

±0

年収800万円

±0

年収1000万円

6万円

6万円

年収1200万円

12万円

12万円

<高校生の子どもが1人の場合>

年収

児童手当による増収

扶養控除の廃止による増税(減収)

合計

年収400万円

12万円

52000

68000

年収600万円

12万円

71000

49000

年収800万円

12万円

109000

11000

年収1000万円

12万円

109000

11000

年収1200万円

12万円

12万円

±0

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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