商品を販売したりサービスを提供したりする際にかかる税金が、消費税。消費一般に対して広く公平に課される税で、1989年4月1日から導入され、2019年10月には10%(国7.8%、地方2.2%)に引き上げられた。しかし、海外と日本では事情が異なる。仕事やプライベートで海外の人と接する機会がある人は、「消費税」にまつわる英語表現や、海外と日本の税金事情の違いを理解しておくといいだろう。
この記事では、消費税や消費税にまつわる言葉の英語表現を、海外の税金事情とともに解説する。
「消費税」を英語で言うと?
「消費税」は英語で「consumption tax」と言い、「consumption」が「消費」を意味し、「tax」が「税金」を意味する。会話では、「sales tax」と使われることもある。
海外と日本の「消費税」は違う?
海外の税金事情を知る前に、日本の税金事情をおさらいしておく。日本では、2019年10月から、消費税の税率は10%(国7.8%、地方2.2%)だ。軽減税率は8%(国6.24%、地方1.76%)で、酒類と外食を除く飲食料品と、定期購買契約が結ばれた週2回以上発行の新聞に適用される。
日本と同じ「消費税」を導入しているのが、EU加盟国だ。日本での消費税は海外では付加価値税と呼ばれており、EUに加盟する国では導入が義務付けられている。EU加盟国の税率は日本よりも高く、標準税率の下限が15%以上で上限は定められていない。国によって税率が違い、日本と同様に軽減税率が適用される商品もある。
アメリカでは、日本のような消費税(付加価値税)がないかわりに、「小売売上税」という税制度が設けられている。小売売上税は、日本のように国で一律税率ではなくて、州・郡・市で税率が異なるのが特徴だ。州によっては「小売売上税」が課税されない州もあり、物品により減免措置もある。アメリカで1番税率の高いのがロサンゼルスのサンタモニカ市で9.5%、1番税率の低いのがオレゴン州・モンタナ州・デラウェア州の0%だ。アメリカでは、小売売上税の他に、物品税と使用税もある。
「消費税」にまつわる言葉の英単語と意味
日本と海外では税金事情が異なるため、「消費税」について英語で伝えるさいには、各国の事情に即した英単語を使うと伝わりやすい。「消費税」について英語で伝えたいなら、「消費税」の英単語だけでなく、関連する言葉の英単語や意味まで知っておくといいだろう。
付加価値税
「付加価値税」を英語にすると、「Value Added Tax」だ。頭文字を略して「VAT 」とも呼ばれる。「ヴィー・エー・ティー」と言うのが一般的だが、まれに「ヴァット」と言う人もいる。
付加価値税(消費税)とは、物やサービスを購入するときに課せられる間接税のことだ。付加価値税は1954年にフランスで誕生した。
諸外国の付加価値税の税率を知りたい人は、財務省のホームページに載せられている資料を参考にするといいだろう。
参考:財務省「諸外国における付加価値税の概要」
間接税
「間接税」は、英語で「indirect tax」と言う。消費税の実質的な負担者は消費者だが、納税義務者は事業者だ。日本の消費税は、間接税に分類される。消費税の他に、酒税とたばこ税も間接税だ。
日本の消費税は多段階課税方式であり、製造業者→卸売業者→小売業者→消費者と、取引の各段階で消費税が上乗せされていき、最終的に消費者が負担する。各事業者は、買い物をする消費者から受け取った消費税や売り上げに上乗せした消費税から、仕入れのときに支払った消費税を引き、差額を国に納めている。
多段階課税について詳しく知りたい人は、財務省のホームページに載せられている資料を参考にするといいだろう。
参考:財務省「諸費税の多段階課税の仕組み(イメージ)」
似た言葉として、納税者が国や地方公共団体に直接納める直接税がある。日本では、所得税・法人税・相続税・住民税などが直接税だ。
物品税
物品税を英語で言うと、「Excise Tax」だ。日本の消費税と似ているが、タバコ、お酒、タイヤ、石油製品、トレーラーなどの限られた商品のみに課せられるという点が、日本とは異なる。嗜好品に対して課せられる税だ。
使用税
使用税は、英語で「Use Tax」と言う。日本ではあまり馴染みのない言葉だが、アメリカではほとんどの州で導入されている。使用税とは、文字通り「使用」に関して課せられる税だ。居住地ではない州外の物品やサービスを購入する際、消費者に課せられる。州単位で課税されるため、税率は州、郡、市によって違う。同じ物品やサービスを購入するのに、州内で購入するときだけ税金を支払うのは不公平なため、使用税が課されている。
軽減税率
軽減税率を英語で言うと、「Reduced tax rate」だ。消費税の軽減税率制度は、消費税率10%への引き上げに伴い、消費者の税負担を減らす目的で実施されている。対象となる品目は、日本では、前述したとおり飲食料品と新聞だ。
小売売上税
小売売上税は、英語で「sales tax」と言う。アメリカでは小売売上税が導入されているため、アメリカの人に消費税のことを伝えたいときは、「consumption tax」や「VAT」よりも「sales tax」を使うと伝わりやすい。
小売売上税は、小売業者から最終消費者への販売に対して課せられる税だ。生産者→卸売業者→小売業者→消費者という経路で販売された場合、小売業者から消費者に販売する最後の段階でのみ課税が行われる。つまり、消費者のみに税金が課せられるということだ。製造業者や卸売業者が最終消費者への販売を行った場合は、その時点で課税が行われる。
アメリカが消費税(付加価値税)を導入しないのは、企業の経営を圧迫させないためだ。自由で独立心の強いアメリカでは、日々新しい企業が誕生している。新しい企業に消費税を課すと財務状況が悪化し、アメリカの経済自体に悪影響を与えると考え、消費者のみに課せられる小売売上税を導入しているようだ。
消費税込み
消費税込みを英語で言うと、「tax included」だ。「including tax」でも意味が通じる。日本では、2021年4月より、商品の価格を税込で表示することが義務付けられている。義務化の対象は、消費者に向けて事業者が表示する価格のみ。口頭で伝える価格や価格が表示されていないものは、義務化の対象に含まれない。
増税
増税は、英語で「tax increase」と言う。税率を上げるなどして税額が増えることが、増税だ。
その他の英単語
前述した以外にも「消費税」にまつわる英単語が多くあるため、一部紹介する。
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所得税 Income tax
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住民税 Resident tax
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源泉徴収 Withholding tax
- 確定申告 Tax return
- 年末調整 year end tax adjustment
- 国税 National tax
- 地方税 Local tax
- 関税 (Customs)duty