ビジネスシーンでよく使われる「お手数おかけします」という言葉は、相手と良好な関係を保つために使う言葉だ。要件に「お手数をおかけします」と付け加えるだけで、より相手に配慮した丁寧な言い回しになる。ビジネスシーンでは海外とやり取りする場面も多いため、英語でも丁寧な言い回しができるとスマートだ。
本記事では「お手数おかけします」の意味と英語での言い方、使う際に注意すべきポイントなどを解説する。
「お手数おかけします」の読み方と意味
「お手数おかけします」を英語で表現するためには、まず日本語の意味を理解している必要がある。「手数」は、「それをするのに必要な動作や作業の数」または「他人のためにかける労力や手間」という意味だ。「てかず」とも「てすう」とも読めるが、「お手数をおかけします」の場合は、「てすう」と読むのが正解となる。
「お手数おかけします」は、相手に頼みごとをするときや、自分のミスで迷惑をかけてしまったときなどに使う言葉だ。相手に迷惑をかけたり仕事をサポートしてもらったりしたら、「すみません」や「ありがとう」と言うのが礼儀だが、「お手数おかけします」だと、より丁寧でスマートな言い方になる。
「お手数おかけします」の正しい使い方
日本語での正しい使い方を知ってこそ、正しく英語で表現できるようになる。
「お手数おかけします」でも間違いではないが、助詞の「を」をいれて「お手数をおかけします」の方が、より正しく丁寧な言い方だ。特に書面やメールなどで使用するときは、意識して「を」を入れるといいだろう。
目上の相手や取引先などに対してよく使われる「お手数おかけします」。頼みごとをする際には、「お手数をおかけしますが、よろしくお願いします」と伝えるのが適切だ。「お手数をおかけしますが」と前置きすることで、要件をただ頼むだけでなく、配慮の気持ちを込めることができる。自分のミスにより迷惑をかけた場合には、「大変お手数をおかけしました」などと伝えるのがいいだろう。
「お手数をおかけします」は、使い過ぎと使いどころに注意が必要な言葉だ。多用すると相手に大げさな印象を与えてしまうため、適度に使った方がいい。大した手間がかからない作業に対して使うと不自然に聞こえるので、違う言葉に言い換えた方が適切だ。簡単な作業や動きに対しては、「恐れ入りますが」「すみませんが」など、もう少しくだけた言い方をした方がいいだろう。
「お手数おかけします」を直訳できる英語はない?
英語には、「お手数おかけします」をそのまま意味する言葉はない。なぜなら、遠回しに思いを伝える日本語と違い、英語は直接的な表現ばかりだからだ。
「お手数おかけします」を英語で表現するためには、似たような日本語に言い換えてから英語に訳す必要がある。
「お手数おかけします」を英語で表現するなら
「お手数をおかけします」の英語表現を、頼みごとをする場合と迷惑をかけてしまって謝りたい場合の2つにわけ、例文を使って説明する。
頼みごとをする場合
「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが…」を意味する「I apologize for the inconvenience, but…」や「I’m sorry to trouble you」の後に、要件や頼み事を伝えるといいだろう。IをWeに変えれば、対個人ではなく、複数人や大勢に向けての言葉となる。
- We apologize for the inconvenience this will cause you, but we ask for your kind cooperation.
皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご協力をよろしくお願いいたします。 - ・I’m sorry to trouble you, but could you call me back later?
ご面倒をおかけして申し訳ありませんが、後からご連絡いただけますか? - I know it’s a big ask, and I appreciate you doing it for me.
大変な依頼にもかかわらず、引き受けてくれて感謝します - I apologize for the inconvenience. Thank you so much in advance.
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。 - Would you send me the documents by May 10?
5月10日までに私宛に書類をいただけますでしょうか? - I would really appreciate it if you could confirm.
ご確認のほど、よろしくお願いいたします - could you tell me one more time ?
もう1度教えてもらえませんか? - I’m sorry she’s not at her desk right now. Can you call back in an hour ?
彼女は今席を外しているので、一時間後に再度電話してもらえますか?
相手に頼みごとをするときに使う「よろしくお願いします」も「お手数おかけします」と同様、英語で表現しづらい言葉だ。相手に英語で何かを頼む場合には、何をいつまでにお願いしたいのか、具体的に伝える英語表現が伝わりやすい。
迷惑をかけてしまって謝りたい場合
「すみません」や「申し訳ございませんでした」という謝罪の言葉は、「apologize」や「sorry」などに訳すことができる。
- I apologize for the inconvenience.
不便をおかけしたことを謝罪いたします - I am sorry to trouble you.
ご迷惑をおかけして申し訳ございません - I’m sorry for bothering you.
ご面倒をおかけしてすいません - Sorry for the trouble!
迷惑をかけてすみません! - Please accept our apologies for your inconvenience we have caused.
ご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
4は、立場が同等な同僚などに対してカジュアルに謝るときの言い方。目上の人や取引先に対して、または文書で使いたい場合は、2の「I’m sorry for the trouble」という丁寧な言い回しが適切だ。「ご協力ありがとうございます」という意味を足したいときは、「Thanks for your cooperation」と付け足すといいだろう。
より真剣に謝罪したい場合は、「sorry」ではなく「apologize」にしたり、”I’m sorry for …”の続く言葉で、何に対して謝っているのか明確にした方がいいだろう。「very」や「terribly」などを「sorry」の前につけると、さらに謝罪の気持ちを強調させることができる。
個人ではなく企業として謝りたい場合は、「I’m sorry」を「We are sorry」に置き換えるといいだろう。