任天堂の2023年4-6月の営業利益が前期比82.4%増の1,854億円となりました。4-6月期としては過去最高を更新しています。
業績の押し上げに貢献したのが2023年5月12日に発売した「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」。このタイトルは販売開始からたった3日で1,000万本を突破。最も早く売れた任天堂ゲームとしてギネス世界記録に登録されました。販売本数は8週間で1,570万本以上に達しています。
任天堂はスーパーマリオ、ポケットモンスターなどの世界で愛されるIPを保有していますが、ゼルダの伝説がそこに加わったことを印象付けました。
業績がゲーム機に左右される任天堂の宿命
ゲーム業界において世界的にも確固たる地位を築いている任天堂ですが、弱点があります。好業績がゲーム機を販売した後の一時的な期間に偏ってしまうこと。ゲーム機を販売すると増収の大波が押し寄せ、その後谷を作ってから、また同じことを繰り返してしまうのです。
任天堂は2006年11月19日にWiiを発売しました。売上高は2009年3月期に1兆8,386億円となりますが、2017年3月期は5,000億円を下回っています。
※決算短信より
2017年3月3日にNintendo Switchを販売し、売上高は再び膨らみました。WiiからNintendo Switchを販売する間に、任天堂は3DやWii Uもリリースしていますが、増収効果は生まれていません。家庭用のゲーム機に業績が左右されているのです。
このことは任天堂の経営陣も課題として認識しており、ゲーム機を販売した後、そのライフサイクルを長く保ち、急速な減収に至らないようブレーキをかけつづけることに注力していました。
人気作を生み出してコンスタントにそれをリリースし、減収を食い止めようとしたのです。上の売上高のグラフの推移を見ると、2009年3月期からの落ち込みに比べて、2021年3月期以降は減収ペースが緩やかになっているのがわかります。