大和ハウスグループの大和ハウス工業、南国アールスタジオ、トラスの3社は、BIM(※1)を使用して作製した商業施設や事業施設などの建物の3次元(3D)モデルを、XR(※2)技術を活用することで、メタバース(仮想空間)上に「D’s BIM ROOM(ディーズビムルーム)」として可視化させる技術を開発した。
※1.デジタルモデリングを使用して、初期設計から建設、保守、最終的に廃棄に至るまで、建築資産のライフサイクル全体にわたる情報管理の仕組み。
※2.AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)といった現実世界と仮想世界を融合する表現技術の総称。
開発の背景と経緯
建設業界では、デジタル技術やデータを活用することで働き方改革や人材不足、技術継承などの課題解決に繋げるDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速している。
その中でもBIMは、建物の3Dモデルを作製することで、平面図などの各種設計図作成ができるため、平面ではイメージしにくい建物を、顧客へ立体的に分かりやすく説明したり、設計業務の効率化を図ったりすることが期待されている。
大和ハウス工業では2017年からBIMの推進を開始し、2020年には大和ハウス工業が建設する全ての商業施設や事業施設の設計業務において、BIM化が完了。
施工業務や見積業務などにおいてもBIM化を進める中、2021年7月より、オンラインで建材を選定するクラウド管理システムを有するトラスとBIMの連携を開始した。
そして今回、さらなるBIMの利活用を目指す上で、パソコンやHMDなどを使用してメタバース体験ができる、企業向けメタバースプラットフォーム「WHITEROOM(ホワイトルーム)」を有する南国アールスタジオとBIMの連携を行ない、「D’s BIM ROOM」の開発に至ったという。
計画する建物の建設予定地で実寸大の外観イメージや色味などをリアルに近い形で体験可能
「D’s BIM ROOM」は、建物のBIMデータとクラウド建材管理システム「truss(トラス)」で選択した建材を「WHITEROOM」で連携させたものを、メタバースとして表示させた空間だ。
BIMデータを「WHITEROOM」と連携させることで、XR用のモデルを別途作製する必要がないため、短時間でスムーズ(※4)(※5)に、設計図書との整合性を担保した3Dモデルを作製することが可能。
3Dモデルを再現したメタバース「D’s BIM ROOM」に顧客自身がパソコンやタブレット、HMDなどのデバイスを使用して入ることで、実寸大の外観イメージや色味、周辺環境との距離感などをリアルに近い形で体験することができる。
また、「D’s BIM ROOM」内で打ち合わせし、決定した事項は、BIMや「truss」に瞬時に反映できるため、数多くの変更が生じる企画・設計・施工の過程において、より効率的に共同作業が進められるとともに、シームレスな情報共有および意思決定にも対応する。
※4.システムの利用には専用アプリのインストール、設定が必要。
※5.モデルにより異なるが、5分~20分程度。