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【ヒット商品開発秘話】累計販売数35億個を突破したミスタードーナツ「ポン・デ・リング」

2023.08.26

■連載/ヒット商品開発秘話

 ミスタードーナツで2003年から20年間、不動の人気1位をキープし続けているメニューがある。それは同年1月に発売された『ポン・デ・リング』。累計販売数は35億個を超えている。

 2023年で誕生20年周年を迎えた『ポン・デ・リング』は、もちもち食感と8つの玉が連なったリング形状が特徴。期間限定発売などを含め、これまでに236アイテムが販売されている。

ポン・デ・リング。もちもち食感の生地にグレーズをコーティングしている

モデルはブラジルのパン

『ポン・デ・リング』は企画から発売までに2年を要したというが、なぜ開発されたのか? ミスタードーナツを展開するダスキンで同事業の広報を担当する加藤明美さん(ミスタードーナツ事業本部企画開発本部販売企画部広告広報室)によれば、背景には新定番商品の創出があった。

「ミスタードーナツは1971年に日本でオープンして以来、店頭には多くの商品が並んできました。定番商品としてお客様から長く愛されてきたものはどれも、1970年代に登場したものです。それまでも新商品はいろいろつくってきたのですが、長続きせず定番化には至りませんでした」

ダスキン
ミスタードーナツ事業本部企画開発本部
販売企画部広告広報室
加藤明美さん

 ミスタードーナツの定番商品といえば、『オールドファション』『フレンチクルーラー』『エンゼルクリーム』『ハニーディップ』といったもの。これらはすべて、1970年代に発売されたものである上に、ミスタードーナツが誕生したアメリカで親しまれてきたものを日本人向けにアレンジしたものだった。

『ポン・デ・リング』の発売以前から、日本オリジナルのドーナツはつくられてきた。しかし、つくるのに手間がかかったり店舗オペレーションに負荷がかかったりしやすい傾向があったことなどから、通年販売できるものとして定着しなかった。

 新定番商品を開発するに当たり着目したのが、食感だった。食感に着目したのは、ミスタードーナツのドーナツは食感に特徴があったため。『オールドファッション』の〈サクサク〉、『フレンチクルーラー』の〈ふんわり〉、『エンゼルクリーム』や『ハニーディップ』といったイーストドーナツ(生地をイーストで発酵させたドーナツ)の〈ふんわり しっとり〉といった具合だ。お客様インタビューでも食感を高く評価する声が多いという。

 かりんとうのような〈ガリガリ〉など、いろんな食感が検討されたが、最終的に〈もちもち〉に決定する。

「日本人になじみがあり好まれていること、その当時、もちもち食感が今後のトレンドになるという予測があったことから、もちもちした食感のドーナツを開発することにしました」

 このように話す加藤さん。もちもちした食感が特徴となっているブラジルのパン『ポン・デ・ケージョ』をモデルに開発が本格化する。

試行錯誤から生まれた独特のリング形状

 開発では、もちもちしているだけではなく、餅のようにツルンとした口当たりにすることにもこだわった。

 もちもちした食感、つるんとした口当たりを高温で揚げる調理法で実現するために活用したのが、加工でんぷんであった。モデルにした『ポン・デ・ケージョ』からヒントを得て採用することにした。

 材料の配合比率を調整し、もちもちした食感とつるんとした口当たりを実現。このため、他のドーナツと比べて水分値が高いという。

 水分値が高くなると、思ったように膨らまなかったり、ドーナツらしいキレイなリング状にならなかったりする。この問題を解決するため棒状にして揚げてみたり、穴なしで揚げてみたりしたが、「ドーナツらしいリング状の形にすることに、開発担当者はこだわりました」と加藤さんは明かす。

 試行錯誤の末にたどり着いたのが、小さな玉が連なってリングをつくる現在の形。ドーナツとしての大きさから見てバランスがよかったことから、玉の数が8つになった。

テスト販売から得た大きな手応え

 発売の1か月前に直営4店舗でテスト販売を実施したところ、予想以上に売れていった。開発担当者が店舗に販売状況を確認しに行った際、1人で20個まほど買った人がいたほど。その人にまとめ買いした理由を聞いたところ、「昨日買って食べたところ美味しかったので友達におすそ分けしたいから」といった答が返ってきた。期待を上回る成果を得て発売を迎えることができた。

 発売開始当初は、揚げた生地にグレーズ(糖蜜)でコーティングした『ポン・デ・リング』のほか、和のフレーバーで展開していった。現在でも販売している『ポン・デ・黒糖』などがそうである。食感から餅を連想させることから、和のフレーバーで展開することにした。

ポン・デ・黒糖。もちもち食感の生地を黒米や黒豆入りの黒五黒糖シュガーであっさり仕上げた

 その後はバリエーションを増やす観点から、チョコレートなど多種多様なフレーバーを展開。その結果、アイテム数が236まで拡大した。

 20年間で236アイテムも発売していると、ドーナツらしからぬユニークなものを発売したこともある。その1つが、2011年8月に期間限定販売された『ポン・デ・たこやき風』。箱型の容器に1玉ずつバラして揚げた『ポン・デ・リング』を詰めてたこ焼きソースを塗り、かつお節と青のり代わりのパセリをかけた。一見すると本物のたこ焼きと勘違いしそうなほどの見た目で、甘さも控えめだった。

2011年8月に期間限定で販売されたポン・デ・たこやき風

オリジナルキャラクター『ポン・デ・ライオン』の誕生

『ポン・デ・リング』の定着に一役買ったのが、オリジナルキャラクターの『ポン・デ・ライオン』。2004年1月に放映したテレビCMでデビューした。

ポン・デ・ライオン

 オリジナルキャラクターをつくることは『ポン・デ・リング』の開発以前から考えられていたという。しかし、どういうものにするかといったことがなかなか決まらずにいた。

 こうしたときに起きたのが『ポン・デ・リング』の発売。独特な見た目であったこともあり、『ポン・デ・リング』をモチーフにして考案することに。最初に考えられたのが『ポン・デ・ライオン』だったが、採用が即決された。

 テレビCMがきっかけで『ポン・デ・ライオン』は人気キャラクターに。オリジナルグッズを積極的につくってきたミスタードーナツは、『ポン・デ・ライオンと仲間たち』でオリジナルグッズを展開していくことになった。『ポン・デ・ライオンと仲間たち』を使ったオリジナルグッズは、2023年7月末現在、431種類つくられている。

ポン・デ・ライオンと仲間たちのオリジナルグッズの例。写真は2022年9月に数量限定で発売した『ポン・デ・ライオンと仲間たち じゆうちょう』。キッズセットのグッズとして企画され、これか『カラフルドーナツ じゆうちょう』のいずれか1つとキッズセットを、『ポン・デ・ライオンと仲間たち』がデザインされたオリジナル紙袋に入れて店頭で渡された

20周年記念の『白いポン・デ・リング』

 2023年6月、発売20周年を記念し、『白いポン・デ・リング』が期間限定で発売された。

 販売期間は8月下旬頃までの予定。『白いポン・デ・リング』のほか『白いポン・デ・カスターアーモンド』『白いポン・デ・みたらし』『白いポン・デ・白あん』の計4種を発売した。白いだけではなく、もちもち食感にやわらかさをプラスした新食感を実現した。

白いポン・デ・リング。白い生地にグレーズをつけ、ドーナツシュガーをまぶした

白いポン・デ・カスターアーモンド。白い生地にカスタードクリームをトッピングし、ホワイトチョコをコーティング。香ばしいスライスアーモンドの食感も楽しめる

白いポン・デ・みたらし。白い生地に醤油風味が香るみたらしのたれを組み合わせた

白いポン・デ・白あん。白い生地に白あんをのせキラキラトッピングで仕上げた

 2023年のミスタードーナツは『ポン・デ・リング』だけではなく、『フレンチクルーラー』が発売50周年、『飲茶』が30周年と周年が重なる。周年記念のテーマを「今年のミスドはワッ!」とし、『ポン・デ・リング』では『白いポン・デ・リング』をつくることにした。加藤さんは開発経緯をこのように振り返る。

「2003年に発売したときは、見た目が面白いこと、もちもち食感がすごいことの2つが好評でした。20周年記念で何をつくるかを検討したとき、この2つをお客様に届けるにはどういうものがいいかを考えたところ、『白いポン・デ・リング』は見た目からビックリされるだろうということになりました」

 実は、白色のドーナツは過去に一度チャレンジしたものの実現できなかったもの。20周年がきっかけで、開発に再チャレンジすることになった。

 かつて開発にチャレンジしたときは、白く揚げることができなかった。揚げ色をつけることなく揚げる反面、揚げたことで生まれる香ばしさを残すことは容易なことではなかった。

 特別な材料の使用、揚げ油の温度変更や交換、などといった店舗オペレーションに余計な負荷がかかることもできない。他のドーナツと同じ材料、設備、製造条件でつくるという制約もあった。

 見直すことができたのは材料の配合。『ポン・デ・リング』の原材料をベースとしながらも配合を何度も調整し、繰り返し検証を実施してようやく『白いポン・デ・リング』を完成させた。

 売れ行きは良く、発売開始当初は原材料が心配になったほど。テレビCMは放映したが、話題性が高かったことなどもありメディアで話題になることが多かったことが売れ行きを後押しした。

取材からわかった『ポン・デ・リング』のヒット要因3

1.食感がウケた

 日本人が好きなもちもち食感を実現。餅のような食感が好まれたと同時に、ドーナツらしくないところに面白さがあり親しまれた。

2.飽きがこないフレーバー展開

 生地自体にほとんど味がないため、揚げたものに何かコーティングしたり半分に割った間に何かを挟んだりすることでフレーバー展開がしやすかった。20年で236アイテムも販売されれば、昔からのファンでも飽きがくることはないだろう。

3. オリジナルキャラクターとグッズ展開

 初のオリジナルキャラクター『ポン・デ・ライオン』をつくり、認知拡大に活用。積極的に進めてきたグッズ展開にも生かし、商品の人気獲得に貢献した。

「発売した当時はこんなに長く売れる商品だとは思っていなかったかもしれません」と加藤さん。日本オリジナルメニューで定番商品になり、幅広いアイテムを世に送り出せたことから、思い入れが強いメニューだという。今後も新たなフレーバーの発売が検討されているというので、楽しみ待つのがいいだろう。

ミスタードーナツ公式HP

文/大沢裕司

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