「職場での人間関係がしんどい」「同僚と話すことが憂鬱……」。そんな悩みを抱えたことはないでしょうか?
これは職場の同僚との距離感が間違っているサインかもしれません。
円滑に仕事をしていくためには職場での人間関係を良好に保つことも大切ですが、必要以上のコミュニケーションや相手に深入りしてしまっていると余計なストレスを抱えてしまいます。
今回は、職場の同僚などと適度な距離感や関係を保つためのポイントについて解説します。職場の人間関係で大きな揉め事はないはずなのに、なんとなくストレスを抱えてしまっている人はぜひ参考にしてください。
職場での適度な距離感ってどのくらい?
まずは職場での適度な距離感について解説していきます。
人との適度な距離感を考えるときには、それぞれの「パーソナルスペース」が関係してきます。パーソナルスペースは、心の距離感と物理的な距離感に分類され、ここでは心の距離感に焦点を当てます。
心の距離感とは、心理的な自分の縄張り空間のことを指します。縄張りとは自分の領域のことであり、相手との親密度によって縄張り空間は狭くなったり、広くなったりします。例えば、親しい友人や恋人、家族などでは自分のプライベートのことを質問されても不快に思わないのに、会社の同僚にはこんなところまで話したくないと思った場合、前者の心の距離は近く、後者は心の距離は広い、となります。
縄張りへ侵入されると人は不快さを感じ、ストレスを抱えてしまいます。特に職場での限定的な付き合いであれば、親しい関係の人もいる方もいるでしょうが、少なからず誰もがプライベートと仕事では心の距離感を分けて接しています。それを相手からお構いなしに縄張りに侵入されているときに、「職場での人間関係がしんどい」という思いを抱えてしまっている可能性があります。
職場の人と適度な距離感を保つためのコツ5選
適度な距離を保ちたいのに、相手が距離を縮めようとしてくる。そんなときに有効な心理的な距離の保ち方をご紹介します。
1.敬語を崩さない
これは心理的距離を広く保つときに有効な方法です。敬語は相手に敬意を示す言葉である一方、相手との距離を取るために使われる言葉でもあるからです。
目上の人に対しての敬語はもちろんのこと、同僚など誰に対しても敬語を使うと相手に深く入り込んでほしくないという心理を表すことができます。
2.誰に対しても同じ態度で接する
人は相手との心の距離によって態度を変えます。これは親密な相手に対しては好印象を与えますが、一方で愛想がない相手には不快な印象を与える可能性があります。
職場では、距離は保ちつつも良好な人間関係を築くことが円滑に仕事を行うポイントになります。そんな関係を築くためには、誰に対しても同じ態度で接することが大切です。誰に対しても挨拶はもちろん、仕事での相談や連絡はしっかりと行うことで好印象を与えることができます。
3.プライベートな内容は控えめにする
人は他の人に話していないようなプライベートな内容を開示されると、相手に親近感を覚えます。そして、自分も自己開示したいという気持ちが芽生えます。この効果は「自己開示の返報性」と言います。
つまり、プライベートな内容を伝えることは相手との距離を縮める行為となります。なので、職場での適度な距離感を保つためには、プライベートな内容は控えめにすることが有効です。
相手がプライベート内容を伝えてきた場合には、こちらからの自己開示はせずに聞き役に徹するといいでしょう。
4.噂話や悪口などには同調しない
職場に必ず1人はいるのが、噂好きや人の悪口を言う人です。適度な距離感を保ちたいなら、このタイプとは関わらないほうが無難です。
噂話というのは、大抵は「ここだけの話」というように秘密の内容が含まれます。そんな秘密の内容に同調してしまうと、相手とは仲間意識が芽生えやすくなり、距離も縮まってしまう場合もあります。
また逆に、噂が広まったときには、あなたも公言していた人の仲間として周囲から見られてしまい、職場での良好な人間関係作りが難しくなってしまいます。
5.自分の価値観を考える時間を作る
適度な距離を保つためには、自分が苦手な人、苦手なことについて考える時間を持ち、そのことについて明確な自分の意見を持つことも大切です。
人は似たような価値観を持つ相手に親近感を覚えます。3.でも触れたように同調は仲間意識を芽生えさせます。自分の踏み込まれたくないポイント、苦手だと感じるポイントが明確にすることができれば、その相手ではなく、自分のことを優先するように努めればいいのです。例えば、プライベートなお誘いを受けることが嫌であれば、自分の時間を優先するために断る、となります。
適度な距離とは、相手ではなく、あなたにとってなのです。嫌われるかもしれないという思いがあるなら、それは相手がメインになっています。自分の価値観を理解していれば、相手のことはそこまで気にならなくなります。
文・構成/藤野綾子