日本一の名産地、岩手県遠野ではホップでツーリズム
日本最大のホップ生産地は岩手県の遠野市だ。1963年からキリンビールの契約栽培地として生産が始まった。現在は市と連携した「遠野市ビールの里」構想が進められ、地元のクラフトビールブルワリーや観光名所、収穫祭などをアトラクションにしたビアツーリズムを実践している。
ホップ収穫を祝って乾杯! ビアフェス「遠野ホップ収穫祭」。今年も8月18日〜19日に開催。提供/遠野ホップ収穫祭
キリンビールも長年ホップの育種を続けてきたメーカーだ。クラフトビール好きには、新しいところでは2019年発売の「ムラカミセブンIPA」のムカミセブンの名が有名だろう。現在、ムラカミセブンは遠野でも栽培されている。
遠野では、キリンビールが開発したホップ「IBUKI」の栽培のほか、新しい品種の育成も行われている。新たに開発された品種を、地元のクラフトビールブルワリーで試験的に醸造して販売するという連携も見られる。
世界的なクラフトビール人気の高まりにより、ホップの新種が相次いでいる。より特徴のある品種が次々と生まれているそうだ。日本のホップ畑からも、それが誕生する可能性は常に、大いにある。別に新種でなくてもいい。ザーツ、ハラタウ、カスケード、ギャラクシーなどなど外国生まれの品種でも、日本ならではの〝テロワール〟の活きたビールが醸造されたら、また楽しい。
多くの農産物の人手不足が課題になる中、ホップ生産も決して楽観できるものではないが、ビール飲みとしては国産ホップの栽培と開発を末長く応援したい。
取材・文/佐藤恵菜