家庭でできる「野菜くず」活用アイデア
ここからは、家庭で手軽に実践できる野菜くずの活用アイデアを紹介する。色々な活用法があるが、大きく分けるとだいたい以下の3パターンがある。
1. 料理に使う
2. 掃除に使う
3. 趣味に使う
順番に解説していこう。
①料理に使う
カットされた後、食べずに捨てられてしまうことが多い野菜のヘタや皮などの野菜くず。しかし実は、まだ料理に使える部分まで捨てられてしまっているケースがほとんどだという。ひと工夫することで意外なほど美味しいメニューができるので試してみてもらいたい。
●ベジブロス(野菜だし)
野菜の皮やヘタ、茎などを煮だして越したものを「ベジブロス(野菜だし)」と呼ぶ。栄養豊富で野菜の旨味も感じられるベジブロスは、スープや鍋の素、パスタソースなど色々なレシピに活用できる。
何の野菜を使ってもいいが5種類以上はあると味に深みが出るのでおすすめだ。1000mlの水に対して200~300gくらいの野菜くずを用意し、弱火で20分以上じっくり煮だそう。しっかり煮だすことができたらザルで越して、保存容器に入れたら完成だ。
●野菜の皮のかき揚げ
にんじんや大根、さつまいもなど、通常なら捨ててしまう野菜の皮はまとめてかき揚げにすると美味しいおかずになる。シイタケの軸やブロッコリーの茎などもおすすめだ。固いものはできるだけ薄く切るか、千切りにしておくと食感が良い。
●野菜の芯(茎)の漬物またはピクルス
キャベツの芯やブロッコリーの茎は固くて食べられないと思われがちだが、漬物に使うことができる。
変色している箇所は切り落とし、茎の表面が固い場合は軽くピーラーで削ってから薄切りにして浅漬けや酢漬け(ピクルス)にすると良い。あと1品欲しいときに便利だし、ちょっとしたつまみにもなるだろう。
●きのこ類の石づきソテーまたは佃煮
きのこ類の石づきは捨てられることが多いが、実はほとんどのものが食べられる。おがくずが付いた1番固い部分だけ切り落として、ソテーや佃煮にしてみよう。特にえのきの石づきを使ったステーキ(ソテー)はかなり美味しいという口コミが多く、ホタテみたいな食感でクセになるとSNSでもバズった1品だ。
②掃除に使う
野菜や食品のなかには、汚れを分解する効果を持つ成分を含んでいるものがある。キッチンや水回りの掃除に野菜くずを活用することで洗剤の節約にも繋がるだろう。
●大根のヘタはグリルやガスコンロの油落としに
大根にはタンパク質やデンプンを分解する酵素が含まれている。切り落としたヘタの部分は捨てずに、グリルやコンロ、IHクッキングヒーターなど油がつきやすい場所に切り口をつけてクルクルと磨いてみよう。油汚れが分解されて落ちやすくなる。
大根おろしのしぼり汁は衣類の漂白・洗浄作用もあるため、血液や牛乳などの染み抜きにも活用できる。
●じゃがいもの皮でシンクや鏡をピカピカに
じゃがいもに含まれるサポニンは界面活性剤(石鹸)と同様の効果があることで知られている。キッチンのシンクでじゃがいもの皮を剥くことがあったら、ぜひそのまま皮の内側でシンクや蛇口を撫で洗いしよう。特にステンレスのシンクはピカピカになるのが実感できるだろう。
水垢や湯垢にも効果を発揮するので、グラスやヤカン、お風呂の鏡なんかにもおすすめだ。鏡の曇り止め効果も期待できる。
●卵の殻はミキサーの刃や水筒の内側の汚れを落とす
卵の殻には漂白作用や研磨作用があり、キッチングッズの掃除に活用できる。ミキサーやジューサーの刃をきれいにしたいときは、少量の水、食器用洗剤、少し砕いた卵の殻を数個分入れて、スイッチを入れてしばらく置いた後、流水で洗い流そう。
マグボトルや水筒の内側など手が届きにくい部分の汚れには、同じく少量の水、食器用洗剤、細かく砕いた卵の殻を入れて蓋をしてからしばらく振ると良い。
茶渋や水垢を落としてくれる。
●バナナの皮で革製品や銀食器を磨く
食べ終わったバナナの皮は捨てずに、革靴や革製鞄の手入れに活用してみてはいかがだろうか?バナナに含まれるタンニンには革をなめしてツヤを出す効果がある。
皮の内側の白い部分で革製品を磨いた後、水分が残らないように乾いた布で丁寧に拭き取ろう。変色や匂いが心配な場合は、目立たない箇所で試してみてから行うことをおすすめする。
銀製品の黒ずみやくすみ落としの効果もあるので、銀の食器やシルバーアクセサリーの手入れにも使える。皮と少量の水をミキサーにかけてペースト状にして、柔らかい布につけて使うとやりやすい。
バナナの皮にはたんぱく質分解酵素も含まれているため肉料理の下ごしらえにも使える。鶏胸肉などに皮の内側を貼り付けて置くだけで柔らかくジューシーな仕上がりになるので試してみてもらいたい。
③趣味に使う
野菜くずは実用だけでなく趣味にも使うことができる。
●染料を作って野菜染めを楽しむ
●ぼかし肥料にしてガーデニングや家庭菜園で使う
など
興味のある人はぜひ挑戦してみてもらいたい。
野菜くずをリユースして家庭のフードロスを減らそう
味に問題ないのに形が悪くて流通に乗ることができない野菜や、賞味期限間近な食品など、まだ食べられるのに廃棄されている食材はまだまだ多い。
普通ならごみとして捨ててしまう野菜くずを少し活用してみるだけでも、家庭ごみは減らすことができる。料理や掃除に使えば生活費の節約にもなるので、これを機に無理のない範囲で実践してみてはいかがだろうか。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.