ペットボトルキャップがアートになるまで
話題のアートの作者は「西倉ミト(@n_mito0813)」さん。画家やイラストレーターとして活動するかたわら、「ボトルキャップアーティスト」として展示会などを開催されている人気作家さんです。
風景画以外にも食べ物や動物など多数のモチーフを手がける西倉さんの作品は、繊細なだけでなくどこか愛らしくてユニーク。
美しさと可愛らしさを併せ持つ西倉さんのペットボトルキャップアートは、多くのファンを虜にしています。
こんな美味しそうなパンケーキも、ペットボトルのキャップに描かれたものだなんて信じられますか…!?
クオリティはさながら、見た人を思わず笑顔にしてしまうそのアイデアも素敵ですよね。
とはいえ、なぜ絵を描くためにあえてこんなに小さなペットボトルキャップを選んだのでしょう?
気になったので、西倉さんご本人にペットボトルキャップに絵を描くようになったきっかけについて尋ねてみました。
「最初はハガキくらいの大きさの紙に動物や街の絵を緻密に描いていましたが、それを見た知り合いの方が『細かな絵が得意なら、もっと小さな絵を描いてみては』とアドバイスをしてくださったため、作品の方向性を見直すことにしました。どのくらい小さくすれば面白いだろうと考えながら過ごしていたところ、2022年6月に地元のショッピングモールで小学生が作ったペットボトルキャップのモザイクアートを見かけました。その時、『1つの小さなキャップに絵を描いている人はあまりいないのでは』と閃いたのがきっかけでペットボトルのキャップに絵を描きはじめました。」(西倉さん)
もともと緻密な絵が得意だったところ、たまたまペットボトルキャップのモザイクアートを見かけたのがきっかけで現在の作風に至ったのだとか。また、のどかな自然や四季を感じる風景などのモチーフが多いのは、小さい頃に過ごした環境がルーツだったといいます。
「祖父母が暮らしていた鳥取の景色をスケッチするのが昔から好きで、私にとって『自然』はとても身近なものでした。海や山、田んぼや牧場など、のどかな景色を見ながら育ってきたため、現在も自然豊かな風景を描くことが多いです。」(西倉さん)
スタジオジブリ作品にも大きく影響を受けているということで、絵の具で描かれた味のある背景画に魅力を感じ、参考にしながら描かれることもあるのだそう。
ちなみに、色のついたペットボトルキャップを使用する際は塗った絵の具が透けてしまうことがあるため、違和感が出ないように気をつけているのだとか。
「側面以外は全て塗りつぶしておりますので、ボトルキャップの地の色を残しているわけではありません。ただ、海の絵なら青色のキャップ、森の絵なら緑色のキャップを使用することが多いです。」(西倉さん)
と、ボトルキャップアートを美しく魅せる工夫についても教えてくださいました。
「今後は、47都道府県の風景やご当地グルメをボトルキャップに描いて並べてみたいです。他にもボトルキャップと他の素材、例えば紙や粘土などを組み合わせた作品作りに挑戦してみたり、表現の幅をさらに広げていきたいと考えています。」(西倉さん)
ボトルキャップアートのアイデアとご自身の作風を活かしながら、今後も様々なことに挑戦したいという西倉さん。更なるユニークなアートの誕生が楽しみですね。
ペットボトルのキャップを使って繊細なアートを描く、話題のボトルキャップアーティスト 西倉ミトさんでした。
■西倉ミト(@n_mito0813)さん
ボトルキャップアーティスト/画家/イラストレーター。
大阪府在住。日本イラストレーター協会所属。アクリル絵の具で動物や風景を描きます。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.