大人しくジェントルな加速、この上級感も魅力
このエンジンとミッションとマイルドハイブリッドだが、これまで試乗したメルセデスのディーゼルモデルの中でもベスト3に入る。いや、ベストかもしれない。まず、振動だがアイドリングストップしてから再始動する時にタイムラグも振動もなく作動し、実にスムーズだ。エンジン音もアクセルオンで若干、音を発するが気になる音質ではない。3000~4000回転で音は高くなるが、それに伴なってリニアに加速する動きのほうに気持ちが持っていかれ、気にならない。
新型の2.0ℓディーゼルターボは、1200回転あたりからトルクが太くなり、加速も軽快。0→100km/h加速は8秒台だが、決して下品な走りではなく、大人しく、ジェントルに加速する。この上級感も新しい「GLC」の魅力だ。
今回、走行モードはコンフォートとスポーツモードを多用したが、新たにオフロードモードを設定している。モードは5モード。各モードでエンジン/ダンパー/ステアリング/ESPなどの調節が行なわれている。
さらにコーナリングやレーンチェンジなどで後輪の操舵も、このモデルから行なえることになった。若干だが大型化したボディの取り回しの良さを確保するために、4WSをオプションで採用。その作動だが、60km/h以下では、後輪は前輪と逆方向に最大4.5度傾けられる。これは回転半径が小さいことで実感できる。時速が65km/h以上では、後輪が前輪と同じ方向に4.5度操舵する。これは100km/h走行時にレーンチェンジした時のボディの動きがシャープなことで体感できる。操舵力は全体に重めの設定だ。
室内は前席の着座はやや高めだが、乗降時にドア上縁が頭にぶつかることもない。後席の着座位置は、高めではないので、前方視界の開放感はあまりなかった。リアのラゲージスペースは奥行きが約1mほどあり、左右の幅も1.1m以上なので、広く、しかもサブトランクも深さが30cm近いので、実用的だ。
エアサスでの車高調整も備わっている。今回のマイナーチェンジで、ボディも少し大きくなったミドルクラスSUVは、快適性を向上させて登場した。日本でも人気が高まるのは当然のことだろう。
■関連情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/glc/overview.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博